第23章 食い違いの悲劇
─ ヒガンバナ基地 ─
ヒガンバナに来てオリヴィアが1番に驚いたのは、レティシアがそこの指揮官であるという事だった。
無意識に義父を比べてしまっていた。
彼も慕われていたが彼女の慕われ方とは違った様に思う…いや、慕われていたというより畏怖で従わせていたのかもしれない。
でも、彼女は慕われちゃんと自分よりも年上の人達を纏め…指示を出すだけでなく自分も危険地へ赴く…義父とは何から何まで違う、オリヴィアはそう思った
レティシア
「で、聞きたい事ってのは?」
目の前のソファに腰掛けているレティシアの問い掛けにオリヴィアは口を開く
オリヴィア
「どうして私の名前を知ってるの?…それに、助けに来た…って?」
レティシア
「あぁ、それはな…あんたが居た孤児院のアーロさんがここに来てな」
オリヴィア
「お母さんが…?」
レティシア
「嗚呼、娘が苦しんでるかもしれないって。その相談を受けたのが私とルシアンだったんだ」
オリヴィアは混乱した。
何度も施設に連絡しようとしたが、1度も送れた事…
オリヴィア
「あ…」
レティシア
「"助けて"…って送ったんだろ?」
オリヴィア
「あれ…ちゃんと送れてたのね…」
1度だけ送信ボタンを押せた事があった。
だが、それが届いているか確認する前に男が来るし…そもそも確認する時間もなかった。
届いていた事…そして、それを母がちゃんと信じて受け取ってくれた事が嬉しくてまた涙腺が緩む
オリヴィア
「でも、どうして私って…」
レティシアは紙に「∵」を書いてオリヴィアに見せる
レティシア
「あんたこれ付けるの癖だったんだろ?助けて、にこの顔みたいなマークに最初は悪戯かと思ったらしいが…あんたが使ってたのをアーロさんが思い出したんだ」
オリヴィア
「そう…だったの。届いていて…お母さんが分かってくれて良かった…貴方達が来てくれて、っ…良かった」
涙を流しながらも嬉しそうに笑むオリヴィアをレティシアは優しく見詰めた。