第23章 食い違いの悲劇
レティシア
「てめぇみたいな、くそ野郎は殺してぇ」
守護官らしからぬ言葉に男は息を呑む。
レティシアはゆっくりとオリヴィアから手を離すと男に近付く。
オリヴィアはレティシアを止めなくて良いのかと、ルシアンに視線を向けるが…彼が止めようとする気配は全く無かった
レティシア
「だが…んな事はしねぇ。生きて罪に向き合って人生使って悔いてもらわなきゃならねぇから…な!」
義父
「…っ…!」
レティシアが握った拳は固まっている男の頬に綺麗に入った。
義父の身体が揺れるとレティシアは、ふっと笑って
レティシア
「あぁ、悪い。手が滑っちまった。……フィピテオ」
義父
「ぐっ…」
それから掌を向けて男の両手を手錠で拘束する。
オリヴィアは彼女が魔法が使えた事に驚いたが…きっとあの時は自分を驚かせない様に、そう思い至ればレティシアは本当に優しい人だとオリヴィアは思った。
レティシア
「おら、さっさと立てよ。何のための脚なんだよ」
ルシアン
「代わる、レティシア」
レティシア
「嗚呼」
腰が抜けて動けない男をレティシアでは立ち上がらせる事が出来ずに苦戦していれば、すぐにルシアンが代わる。
ルシアンはいとも簡単に立ち上がらせると連れて行く
レティシア
「さ、私達も行くぞ」
オリヴィア
「聞きたい事が…」
レティシア
「ここを出るのが先だ」
さっきまでのピリついた空気とは打って変わって明るく笑むレティシアに連れられてオリヴィアは地獄から出た。
頬を撫でる風に目を瞑ってから息を吐き出し…レティシアを見る
オリヴィア
「ありがとう…助けてくれて」
レティシア
「嗚呼。どういたしまして」
先程は受け取ろうともしてくれなかった感謝の言葉を、今度はレティシアが受け取ってくれればオリヴィアは嬉しそうに…笑みを浮かべる。
レティシアはそれを見て安心し…同じ様に笑みを浮かべた
それからレティシア達が所属するヒガンバナ基地へ連れて行かれる車中で、あそこにいた全員を捕まえた事をオリヴィアは聞かされた