第23章 食い違いの悲劇
オリヴィア
「どう、しよう…っ」
完全に力が抜けてしまったオリヴィアはベランダから立ち上がる事が出来ない。
オリヴィア
「このままじゃ…私…」
死んでしまう…
そう思ってしまった瞬間─…
─バンッ
オリヴィア
「……っ…!」
思い切り扉が開かれた事により大きな音を立てる。
そこには長身で黒髪の男が、オリヴィアを見付けて目を丸くしていた
ルシアン
「おい、レティシア!居たぞ!」
オリヴィア
「……っ…?」
"居たぞ"…?
という事は私を探してここを襲撃した?そう思ったオリヴィアは恐怖で小さく身体を震わせる。
誰も来ないという事は皆やられた?それ程までに彼等は強いの…?
レティシアという人を呼ぶという事は、きっとその名前の人が一番上で…一番強いのでは?
オリヴィアの頭の中は疑問符ばかりが飛び交った。
近付いてくる足音に合わせてオリヴィアの心臓も大きくなっていく。そして、姿を現したのは屈強な男でも何でもなく…金の髪を団子で纏めた細くて綺麗で、自分より少しだけ年下に見える女の子だった。
だが、頭が混乱していて彼等が襲撃者だと思っているオリヴィアは…ここで攫われたらいけないと思い、恐怖を押さえつけ近付いてくるレティシアに掌を向ける
レティシア
「おい…だい─…」
オリヴィア
「フラウフィ…!」
レティシア
「……っ…!?」
ルシアン
「レティシア!」
レティシア
「大丈夫だ」
オリヴィアは誰かに向けて初めて治癒魔法ではなく攻撃魔法を使った。そんな事をされると思っていなかったレティシアは咄嗟に反応する事が出来ず、オリヴィアが放った刃の様に鋭い岩が右肩を傷付けた。
左手で肩を押さえつつも駆け寄ろうとするルシアンに声で制する
レティシアは今、魔法を使ったら驚かせるだろうと思い肩は治さずただ押さえ続ける。
初めて放った攻撃魔法が当たってしまい…しかも、怪我をさせてしまった事にオリヴィアは固まってしまった
オリヴィア
(ど、どうしよう…血が…っ)
レティシアは、ふっと柔らかい笑みを浮かべると腰を抜かしているオリヴィアへ少しだけ近付く