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Smile Bouquet

第23章 食い違いの悲劇




オリヴィアの手を引いたのは義父の数いる部下のうちの1人だった。
元から決まっていたというのは本当だったのか、とオリヴィアはどこか冷静にものを考えていた。


オリヴィアを壁に押し付けながら首に顔を埋める男の息は荒く、彼女はそれが気持ち悪くて拒もうとした


義父
『誘われたら断るな。仕事に関わる』


その言葉を思い出してオリヴィアは拒もうとした掌を、ぐっと握り込み…ぬるりとした舌が肌に這う感覚を歯を食いしばって受け入れた。





オリヴィア
「私の身体は1つしか無いのに…」


性処理、なんていう欲しくも無かった役割に就いてから数週間が経った。
ベッドに殆ど体力が0に近い状態で仰向けのまま彼女は呟く。やっと終わったと思ったら、すぐに次が来る。
戦闘を終えたと思ったら新しい敵が来る、彼女にはそう見えていた。

オリヴィアの腹部や太腿には誰のものか分からない白濁とした液が混ざり合っていて、気持ち悪くなる。

再び開く扉の音にオリヴィアは溜息を零したくなる。
だが、彼女には魔法があるのだ。


オリヴィア
「フラウフィ…」


覆い被さってきた男に向かって、聞こえないように呪文を唱える。すると、男は急にすっきりしたような表情を浮かべてオリヴィアに何もせず部屋から出ていった。
どうしても相手にしたくない時は…こうして魔法を使って欲が満たす様にしているのだ。

そうでなければ、オリヴィアの身体はいくつあっても足りない


オリヴィアは隙を見つけては孤児院へ連絡をしようとする。だが、その隙を潰すようなタイミングで男は入ってくるのだ。助けなんて…呼べる状況ではなかった。


日付感覚もおかしくなる様な日々は…オリヴィアが19歳になっても変わる事はなかった。
そんな日常を受け入れるしか無くなっていたオリヴィアは特に何かする訳でもなく、ベランダへ出て青い空を自由に飛んでいる鳥を眺めていた。


─バァンッ


オリヴィア
「……っ…!?」


表玄関から何かが壊される様な…それでいて争っているような音が聞こえるとオリヴィアは何が起こっているのか分からなくて、恐怖でベランダに座ってしまう

オリヴィアは危険な現場に赴いた事がない為、戦闘経験などない。だが一つ分かるのは…ここが何者かに襲撃を受けているという事



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