第23章 食い違いの悲劇
ヴィム
「紹介が遅れましたが…貴方がたの周りに居る彼等もまた、俺達と同じ様な目に遭っていたんです。貴方がた守護官がつけた"真夜中の狂団"はこうして生まれました」
周りへ視線を向けると彼等の瞳は鋭く…手の届かなかった被害者なんだと、特別室の全員は拳を握った。
ヴィムは、ふっと笑みを浮かべてオリヴィアを見詰める
ヴィム
「次。…オリヴィア姉さんの番。どんな家庭で幸せに暮らしてきたのか…教えてよ」
オリヴィア
「……私が…引き取られたのは…」
【オリヴィア·ルロワ】
孤児院での幸せな思い出は彼女にとって宝物で…またその宝物が増えるんだと、新しい家族が出来る事にオリヴィアは胸を躍らせた。
フレリア
「オリヴィア姉さん…元気でね」
オリヴィア
「ん。皆を宜しくね、フレリア」
ヴィム
「落ち着いたら連絡して」
オリヴィア
「分かった。必ずする」
メル
「オリヴィア姉さんが居ないの…寂しいけど…メル泣かない。離れてても…オリヴィア姉さんが、大好きだよ」
オリヴィア
「うん、笑っていて…メル。私もずーっとメルが…皆が大好きだよ」
オリヴィアの言葉に皆が嬉しそうに表情を緩める。
そっぽを向いているリオンを促す様にヴィムが、肘でリオンの腕をつつくと視線を逸らしながら精一杯の言葉を吐き出す
リオン
「たまには…帰ってきてくれん、だろ?」
オリヴィア
「ふふ、うん。勿論。リオン…皆を守ってね」
リオン
「おう!」
元気なリオンの返事にオリヴィアは安心して彼等に背中を向ける。そして、待っている新しい両親の元へ向かった
だが、オリヴィアが彼等に連絡する事もたまに帰ってくるという約束を守る事は無かった。
いや…それが、許されなかったのだ。
彼女を引き取ったのは裏組織のトップである男とその妻だった。裏組織は常に危険が伴う為、魔法が使える子供を探していたのだ。
その際に目をつけられたのが…オリヴィアだった。
この組織では薬物は勿論だが小型魔獣を違法な方法で売っていたり、人身売買や殺人までも請け負っている。