第23章 食い違いの悲劇
義父
「よ、よせ…リオン…っ」
リオン
「はっ…やだね。んな言葉…今更なんだよ!」
義父
「あ゙っ…!」
リオン
「こっちが謝って…止めろっつった時、止めなかったろ。何で俺は止めなきゃいけねーん…だよ!」
義父
「ぐっ…ぁ…」
床に倒れて動かなくなった義父を、鼻で笑ってからリオンはその場を後にした。
男
「お、おい…メル…そんなもん、しまえ」
メル
「はぁ?嫌です」
男
「や、止めろよ…っ」
メル
「テメェさんがアタシを連れ出さなかったら、あんな事せずに済んだ…あ、テメェさんにもこの嫌な気分を味あわせてやろーと思って持ってきてやったんです。でも、逃げられちゃ困るから」
男
「うっ…!」
狂気に表情を歪ませたメルは躊躇いなく男の腹部に刃物を突き刺す。床に倒れ痛みに悶える男に跨ると、口を開かせ何かを突っ込む。
その得体のしれない何かに男は目を丸くして吐き出そうとするがメルがそれを止める
メル
「アハハ…気持ち悪ぃですよね?」
メルが男の口に突っ込んだのは、あの日メルの初めての客として教える様に咥えさせられつつも、歯を立てたモノだった。
良く見るとメルの服は赤く染められていて…1人の命を奪ってきた事が分かった。
男は恐怖で顔を真っ青にして首を横に振る。
メル
「金を稼ぐ為に使ってた道具に殺されんのは…どんな気分ですかァ?」
男
「ふぐ、っ…!」
返り血を浴びながらも狂気的な笑みを浮かべて事切れた男を見てから…廃工場へと戻って行った。
自分達と大事な家族を奪った存在を手にかけた彼等は躊躇が無くなった。あの日、自分達を利用した女に似ている貴族を見付けると…自分達のような子を増やしてはいけないという謎の正義感で…貴族の命を奪っている。
ヴィムが話終えると、その内容の濃さに全員が苦しげに表情を歪める。
オリヴィアは自分が知らない所で酷い目に遭っていた家族と亡くなってしまった家族の話に苦しそうに下唇を噛む。
オリヴィア
「フレリア…が…」
メル
「メル達は不幸になったのにオリヴィア姉さんは幸せに育って、…ずりぃです!」
肘掛に何度もナイフを突き立てるメルの瞳は恨みで濁っている。それを気にしていないヴィムは言葉を続ける