第23章 食い違いの悲劇
3人で庭へ出ようとしている時に丁度聞こえてきた使用人達の会話に、彼等は脚を止めて耳を澄ませる。
使用人1
「それにしてもお嬢様も酷いわよね」
使用人2
「本当に。レイアン様に好かれたいからって3人も拾ってくるなんて」
使用人1
「でも、レイアン様もレイアン様よ。彼女は優しい方だって…騙されてしまって」
使用人2
「本当は貴族出身者、以外は嫌ってらっしゃるのにね」
誰もいないと思っているからの会話は3人を傷付けた。
ヴィム
「やっぱり貴族なんて信じるんじゃなかった。…行こう。自分達で何とかするんだ」
ヴィムの言葉にリオンもメルも頷き…屋敷には戻らなかった。
そして、廃工場へと戻った3人は…ある決断をしていた
フレリアが暮らしていた家は電気が消え…2人が眠っているのを伝えている。静かに…音を立てずヴィム達はその家へ侵入する
メル
「コイツらがフレリアお姉ちゃんを…」
ヴィム
「まずは…火傷を負わせた女からだ」
リオン
「いくぞ?」
ヴィム
「嗚呼」
メル
「ん」
3人で1本のナイフを震える手で握る。
そのまま振り上げ…怒りと憎しみのままに、それを思い切り振り下ろす。と…眠っていたフレリアの義母は目を見開き声もなく息絶える。
そうして同じ様に…隣のベッドで眠っていた義父にも振り下ろし身体を貫く。
彼等は越えてはいけない一線を越えてしまった。
だが不思議と罪の意識はなく…これはフレリアの為、彼等が悪いそう思った。
そして─…
義父
「あぐ…っ…!」
ヴィム
「痛いか?」
義父
「やめ…っ」
ヴィム
「俺に手を上げるの…止めなかっただろ。俺も止めない。…痛み苦しんで…死ね。お前が生きているだけで…俺は息が詰まるん、だ!」
最後に思い切り貫くと義父は目を開いたまま事切れた。
身体を起こすと、ギロリと視線を固まっている義母へ向ける
ヴィム
「優しかった義母さんには感謝してるよ。…けど、貴女が俺を引き取ろうと考えなければこんな事にはならなかった」
近付いてくるヴィムから逃げようと尻もちをついたまま後退する。
義母
「お願い…っ…許して、ヴィ─…ぐっ…!」
返り血も拭わずに動かなくなった彼等を見下ろすヴィムの瞳は…どこかすっきりしていた。