第23章 食い違いの悲劇
【彼等だけになった日常─始まる新生活】
オリヴィアに新しい家族が出来て孤児院から去った後の施設内は、どこか沈んでいた。
だが、新しい家族が出来るのは良い事だとアーロに教えられた彼等はオリヴィアが新しい幸せを手に入れたんだと受け入れた。
オリヴィア
「離れていてもずっと家族よ」
去り際に告げられたオリヴィアの言葉を胸にしまい大事に保管した。それからも4人は常に行動を共にして毎日、楽しく過ごした。
そして、4人にも新しい家族が出来る事になった。
実の親に捨てられ家族なんて必要ないと思っていたが、施設で過ごすうちに家族はとても暖かくて幸せなものだと学んだ彼等は…また新しい家族が出来るんだと、幸せになれるのだと胸を弾ませた。
【ヴィム】
彼はすぐに絶望した。
これは家族じゃない、こんなものは家族じゃない。
家族は…家は施設(あそこ)しかないと、ヴィムは思った。
義父
「何だ、その反抗的な目は!」
ヴィム
「ぐっ…!」
義父
「だから…だから、反対だったんだ!」
ヴィム
「う…っ…!」
義母
「ごめんなさい…ごめんなさい…っ」
ヴィムを引き取った夫婦…夫の方が嫉妬深い男だった。
子供を望んだのは妻の方で、彼女が望むならと男はヴィムを引き取る事を了承した。
妻は本当の息子の様にヴィムを大事にした。だが、それが彼には耐えられず嫉妬欲のままにヴィムに何度も暴力を振るった。
助けられない妻は、ただ謝る事しか出来なかったのだ。
帰りたい、本当の家族の元へ…ヴィムはいつ死ぬか分からない日々の中でそればかりを考えた。
【フレリア】
暖かい夫婦の元で幸せに暮らせる、2人の笑顔を日常の中で見てフレリアは思っていた。
夫婦はとても優しく…特に夫は優しかった。段々とそれが違和感に変わる程、優しかったのだ。
ある日、妻が仕事に行っている時…夫はフレリアの肩甲骨まで伸びる淡いオレンジの綺麗な髪を優しく撫でたかと思うと、ゆっくりとその手は身体にまで這った
フレリア
「お、お義父さん…やめて…?」
義父
「大丈夫。何も怖い事はしないから」
歪む目と口元は既に彼女からしたら怖かった。
そうして、フレリアの身体はソファへと押し倒され…流石にこれ以上はまずいとフレリアは義父の胸板を強く押した