第23章 食い違いの悲劇
─ ヒガンバナ基地 牢獄 ─
レティシアとルシアンが牢獄の前に立ち中を見ると、リオンは背中を向けて横になっていた。
レティシア
「ソフィア」
ソフィア
『はい。…解錠、しました』
リオン
「……っ…!」
鍵が開く音に素早く反応して立ち上がり扉を思い切り開けると前に立っているレティシアに向かって拳を振り上げるが、彼女は驚いた様子も無くそのまま立っている
リオン
「うっ…!」
ルシアン
「大人しくしてろ」
レティシアの斜め後ろにいたルシアンがリオンの首に片腕を回して拘束すると、リオンは悔しそうに表情を歪める。
レティシア
「ったく、元気なこった。ほら、お出掛けの時間だぞ」
リオン
「あぁ゙!?」
レティシア
「けど、誰かが怪我しちゃ困るからな。少し我慢しろよ。…フィピテオ」
レティシアが呪文を唱えるとリオンの手は固く拘束された。
動かした所で取れない、そう悟ったリオンは大人しく従う事にした。
そして、リアム達が待つ車に乗り込むとオリヴィアの姿にリオンが1度暴れたもののジルヴァが敢えて膝に乗ると…意外にも大人しくなった。
それを見てオリヴィアはリオンが変わっていない事に安堵した。
というのも、彼女の昔の記憶だとリオンは小型魔獣が好きで優しかったらしく…怒っていても小型魔獣がいると大人しくなると、皆に共有した。
変わっていたらジルヴァが危ないかもしれないとオリヴィアが付け足したが、レティシアがそれを信じてジルヴァが実行した…結果があれだ。
ノアが運転する車は廃工場の前で停り全員が降りる。
そして、ギギっと錆び付いた音を立てる扉を開けると10人程の男女が立っていた。
だが、彼等は攻撃してくるでも無くレティシア達を睨み付けている
?
「ようこそ、特別室の皆様」
?
「あれぇ?リオン連れて来てくれやがったんですかぁ?」
彼等の後ろから聞こえた落ち着いた声と甘ったるい声。
甘ったるく響く声には特別室メンバーも聞き覚えがあった
リアム
(あの映像の…)
リアムはあの映像に映っていたのが目の前に現れた彼女を見詰めた