第23章 食い違いの悲劇
リオンを見送ってから2人も特別室へと戻る。
デスクに軽く腰掛けながら腕を組んだレティシアはオリヴィアへと視線を向ける。
だが、オリヴィアは視線を床へ落としたままで…
レティシア
「オリ─」
オリヴィア
「どうして、あんな事を言ったのよ」
レティシア
「……?」
責めるように尖ったオリヴィアの声に思わずその場に居た全員が首を傾げる。
オリヴィア
「人のせいにすれば楽だ、なんて…そんなの分からないじゃない。本当に彼等がああなってしまったのが私のせいかもしれないじゃない。…それなのに、決め付けたように言うなんて…」
レティシア
「だが、オリヴィア。あいつだってオリヴィアがどんな目に遭っていたか分からな─」
オリヴィア
「レティシアだって聞いただけで見た訳じゃないじゃない!」
レティシア
「………っ…」
オリヴィア
「勝手に分かった様な気になって、彼を傷付けないで!」
珍しく声を荒らげるオリヴィアの言葉に傷付いたように瞳を揺らすレティシアを見たルシアンは、オリヴィアの肩に手を置く
ルシアン
「落ち着け。…言い過ぎだ、オリヴィア」
彼の言葉に、はっとしてオリヴィアはレティシアへ視線を向ける。彼女を傷付けてしまった事を理解したオリヴィアは、誰とも言葉を交わさないまま特別室を出て行く。
だが、ルシアンは小さく息を吐き出すとオリヴィアの後を追って特別室を出た
オリヴィア
「お嬢の事…傷付けちゃったわよね」
外にある備え付けられた灰皿の横で壁に背を預けながら煙草を咥えるオリヴィアは、視線を向けずとも誰が来たのか分かったように声を上げる
ルシアン
「まぁ…だが、あいつは分かってるだろ。お前の言葉が本音じゃないって」
オリヴィア
「そう、かしら……でも、駄目よね。感情的になって一番大切な子を傷つけちゃうなんて」
ルシアン
「感情的になっちまうくらい、そいつが大事だったんだろ。間違っちゃいねぇよ。俺だって家族…レティシアに言われた事、起こった事によっちゃ手出てる」
オリヴィアと同じ様に壁にもたれ掛かりながら話すルシアンの言葉にオリヴィアは、ふっと小さく笑を零した