第23章 食い違いの悲劇
「離せっ…離せよ…!」
「くっ……大人しくしろ!」
オリヴィアがレティシアより先にロビーに到着すると2人の守護官に腕を掴まれている、ナイフを持った男が暴れていた。
その姿は間違いなく彼女の知人で…思わず声を上げる
オリヴィア
「リオン…!」
「……っ……!」
リオンと呼ばれた男は、オリヴィアの声に反応し鋭い眼光を彼女へ向ける。
そして、オリヴィアを視界に捉えると一瞬驚いた様に目が丸くなったが、すぐに目を鋭くさせ…先程よりも強い力で腕を掴んでいる守護官を振り払う
リオン
「てめぇ…!」
押さえ付ける者から開放されたリオンはナイフを構えながら殺意に金の瞳を濁らせ、オリヴィアに向かって走って行く。
オリヴィアはその瞳に驚いて一瞬、反応が遅れてしまう…
リオン
「ぶっ殺─…」
レティシア
「フィピテオ!」
リオン
「ぐっ…!」
振り上げたナイフはオリヴィアに当たる事無く、レティシアの放った魔法によってリオンは拘束され床に倒れる
レティシア
「大事な仲間、殺されてたまるか」
オリヴィア
「お嬢…」
レティシア
「珍しいな。オリヴィアが突っ走るなんて」
オリヴィア
「……ごめんなさい…」
笑いつつもリオンから視線を外さず、オリヴィアを背中に庇う様にしてレティシアが立つ。床に転がったままリオンは黒のメッシュが入った銀髪を乱しながら声を張る
リオン
「…っざけんなよ!俺の仲間…家族は殺されたんだ!あんたのせいだ!」
オリヴィア
「………っ」
リオン
「俺等はあんたを恨んでる!メルは特にオリヴィア姉さんの事を殺したがってる!」
憎しみに満ちた瞳も言葉も隠さずにリオンは叫ぶ。
その言葉にオリヴィアは戸惑い瞳を揺らす…
レティシア
「人のせいにすれば楽だよな」
リオン
「あぁ゙!?」
オリヴィアの過去を知るレティシアはリオンへそんな言葉を向ける。だが、彼からしたら自分の事を何も知らない人間が横槍を入れてきた様にしか思えず声を荒らげる
レティシア
「連れて行け」
守護官
「はっ!」
指示を受けた先程、振り払われた守護官はレティシアの言葉に敬礼しリオンを連れて行く。
その間もリオンは声を荒らげ続けていた