第22章 貴方の面影をなぞって
苦手な水に突然、包み込まれたレティシアの周りは彼女によって出来た泡で充満する。
パニックに陥って呪文が唱えられないのだ。
リアム
「ルシアンさん…!」
ルシアン
「……っ……我慢するんだ」
リアム
「けどっ…!」
ノア
「座って、リアムくん」
拳を握りしめて立ち上がったリアムはレティシアを助けようと告げる様にルシアンを見たが、彼の瞳は彼女を見詰めたまま動かない。
ノアに腕を掴まれてリアムは、ばっと彼を見る。ノアもまた…苦しそうに歯を食いしばって見守っていた
オリヴィア
「お願い…お嬢、早く呪文唱えて…」
ソフィア
「レティシア様…」
ジルヴァ
「にゃう…」
祈る様に両手を握るオリヴィアとソフィアに不安そうに瞳を揺らしているジルヴァを見て、リアムは反省する様に再び座る。
─バシャッ
レティシア
「はぁっ…はぁ…っ」
何とか呪文を唱えたレティシアは水から開放されたレティシアは床に俯いて座り込み荒い息を繰り返している。ずぶ濡れになったレティシアをその場にいる全員が静かに見守る
メディ
「……実感したかい?」
レティシア
「はぁ、っ……した…っ……悲しくなるぐらい、衰えてやがる…!」
ポタポタと彼女の金の髪を伝って落ちる雫は水と涙か…それは俯いているため彼女にしか分からない。
レティシアは首にかかっているロケットペンダントを、ぐっと握り締める
レティシア
「けどっ…諦めねぇ…!フィピテオ!」
メディ
「……っ…クラーディ」
よろよろと立ち上がったレティシアが両掌を向けると白い光がメディ目掛けて放たれる。だが、片方の掌を向けたメディからも黒い光が放たれ…白と黒がぶつかり合う
レティシア
「くっ、そ……!」
メディ
「……っ…」
強い風と威力、眩しさにその場にいる全員が腕で風を防ぎつつ顔を顰めてその光景を見る。
レティシアも初めて見るような必死の形相で身体に力を込めている。一方メディも眉間にシワが寄っているもののレティシアとは異なり片手だ。
それが、2人の今の実力を物語っている
だが、レティシアは負けるつもりは無いらしく
レティシア
「フィピ、テオ…!」
更に呪文を重ねて威力を強くさせる。