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Smile Bouquet

第22章 貴方の面影をなぞって




それと同時に思い出す。
あの日言われた事を理解出来なかったわけじゃない、ただ理解していても簡単に思考が変わらなかった。
だが、少しだけ魔法を使う頻度は増えたのだ。

ユリスが捕まり初めて暴力を振るわれているのを見掛けた日から少し経った頃に掛けられた、何気無いユリスの言葉。


ユリス
『前に俺の傷を治してくれた時に言ってたろ。"自分の力だけで出来るなら、嫌われた力に極力頼りたくない。でも、中々そうはいかない"って』

レティシア
『言ったけど…それがどうかしたのか?』

ユリス
『魔法もお前の力だろ』

レティシア
『……っ』

ユリス
『中々そうはいかない、それで良いだろ。お前の中で魔法を使うってゆう選択が出来るようになってんなら…それで良いじゃねぇか。レティシアの力なんだから』






レティシア
「くっそ…!」


忘れていたわけじゃない。覚えていた筈なのに出来なかったのは、使いたくないと無理矢理縛り付けていたから。
もっとレベルを上げなくちゃいけない、その思いが自然とレティシアの中で溢れた。


レティシア
「やってやるよ…」

メディ
「………」


何かを強く決意したような真っ直ぐな紫の瞳を見ればメディは優しく笑みを浮かべるが、すぐに表情を引き締める。


レティシア
「ふぅ……」


立ち上がったレティシアのいつもと少し違う空気にリアムは息を呑むが、ルシアン達はどこか嬉しそうだ。


レティシア
「フィピテオ…!」


レティシアが呪文を唱えるといくつもの氷の矢が彼女の前に現れ、すっと上げていた掌を右へ揺らすと氷の矢がメディに向かって躊躇いなく放たれる


メディ
「クラーディ」


─ドドドッ


当たる寸前でメディが張った巨大な透明の壁に氷の矢が凄い音をたてて突き刺さる。


レティシア
「まぁ、そうだよな…フィピテオ」


レティシアの両腕は色を変え、鋼を纏っていた。
地を蹴ると踏み込み躊躇いもなくメディへ強化された腕を振り下ろす。だが、それを身軽に避け


メディ
「クラーディ」

レティシア
「わぷ…っ」

リアム
「レティシア…!」


拳を再び下ろそうとしたレティシアをメディの呪文で現れた水の塊が、彼女の身体を包み込む。水が苦手なのを知っていたメンバーの表情は固い



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