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Smile Bouquet

第22章 貴方の面影をなぞって




レティシア
「くそ…っ…何だよ…何なんだよ!いつもはそんな事言ってこないくせに!何で…っ…今日に限って言ってくんだよ…!」


赤く染った太腿だけでは自身への苛立ちを消化出来ず、顔を上げ思わずメディに当たってしまう。

それを誰よりも静かに彼女を見詰めていたメディが言葉を返す。


メディ
「今日だからだ。…君が1番分かっているだろう」

レティシア
「…っ…」


今日は…ユリスの命日だ。
だからこそ、メディはこの場を利用し彼女と深く言葉を交わし…今よりも自分自身を大事にして、魔法を衰えさせない様に心が変わって欲しかった


メディ
「レティシアくん、立つんだ」

レティシア
「……!」


メディの言葉がレティシアを13歳の頃へと引き戻す。



レティシア
『はぁ…っ…は、っ…』

ユリス
『レティシア、立つんだ』


魔法の扱い方の更なる向上の為にユリスと何度も魔法でぶつかり合い、ボロボロになったレティシアは息を切らしながら地面に寝転がっていた。
何でこんな事をしなきゃいけないのかが未だに理解出来ないレティシアは下唇を噛む


レティシア
『何で…』

ユリス
『ん?』

レティシア
『何で…こんな事しなくちゃならない。私は魔法なんか…使いたくないねぇのに…!』

ユリス
『それでも、使わないといけない場面も出てくる。そんなの分かってるだろ』

レティシア
『けど私は…ユリスに体術も剣術も教えてもらってるから、魔法が無くても助けられてる…!』


レティシアの言葉にユリスは小さく息を吐き出して寝転がったままの彼女に近付きしゃがんで見詰める


ユリス
『今にも殺されそうになっている人の元へは、どれだけ必死に走っても間に合わない。でも、俺達は間に合う』

レティシア
『……え…』

ユリス
『魔法が使えない奴は助けられなかったと悲しまなくちゃならねぇ事が多い。俺達はもう1つ魔法を使うっつー選択が出来る』

レティシア
『魔法を…使う、選択…』

ユリス
『これからもレベルを上げろ。そして、その選択を選び取れる様になれ。したら、今よりも多くの困ってる人を助けられる』


ふっと優しく微笑むユリスがレティシアの頭を撫でてやると、自分の間違った決断に視界が霞んだ



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