第22章 貴方の面影をなぞって
いつになく真剣で真面目な顔をして向けられるメディの攻撃をレティシアは段々と防ぐ事で精一杯になる。
そんな彼女の姿を見た事が無いリアムは驚きつつも拳を握る
メディ
「簡単な魔法ばかり使っていたら、いつか衰える!ユリスくんを彼と同じ様に大切に思っていた君が…彼の想いを消したらいけない。君の身体に染み付いている体術も剣術も…魔法の扱い方も…全てがユリスくんの形見のようなものだ…!」
レティシア
「……っ…!」
"ユリスの形見"…頭を鈍器で思い切り殴られた様な衝撃に思わず目を丸くして固まってしまう。
何が"命は皆等しく1度だ。だから、自分も他人も…2人助けろ。分かったか"だ。
分かってなかったのは私じゃないか…とレティシアは悔しそうに奥歯を噛み締めた。
ぼーっとしているレティシアを気にする事なくメディは彼女を思い切り蹴る。すると、力が抜けてしまっていたレティシアの身体は簡単に吹っ飛び壁へと背中を打ち付け…そのまま滑り落ちて座り込む
ソフィア
「レティシア様…っ」
両目に涙を溜めて立ち上がるソフィアの手をオリヴィアが掴む。
ソフィアは何故、止められるのかが分からなくて座っているオリヴィアを見下ろす
ソフィア
「……っ…」
下唇を噛み締め片手が白くなる程、強く握り締めているオリヴィアを見付け…彼女も、皆…耐えているんだと静かに腰を落とす。
レティシア
「ふ……ははっ…」
首を項垂れて座り込んでいたレティシアから小さな笑い声が聞こえる。
レティシア
「ユリスが関わっているものは…何一つ消したくねぇと思ってた。なのに…消そうとしてたのは私だったのかよ。何だよ…私は…私を1番に大事にしなきゃ、いけなかったのかよ…っ」
力無く響く彼女の声は今にも泣いてしまいそうで。
事情を知らない訓練生でさえ表情を苦しそうに歪めている。
身を呈してしまうのは身体が勝手に動いてしまうため仕方が無いし、今更治せない。彼女は自分の事も大切にしていたつもりだった…そう、文字通り"つもり"でしかなかったのだ。
人に言っておいてレティシアが1番…自分自身を本当の意味で大切に出来ていなかったのかもしれない。
それに気が付いてレティシアは拳を握り、自身の太腿を叩く