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Smile Bouquet

第22章 貴方の面影をなぞって




サーラ
「始め!」


2人の様子を窺っていたサーラの緊張した様な声が響くと、同時に地を蹴る


レティシア
「何で突然、魔法の事を言ってきた…!」

メディ
「ユリスくんの為さ」

レティシア
「ユリスの?」


互いに間合いを詰めたり開けたりしつつ拳や蹴りを何度も繰り出すが、一向に当たりはしない。
そんな中、2人は会話を始めた


メディ
「彼は娘として育てた君を何よりも大切にしていた。身を守れるようにしてもらっただろう?」

レティシア
「嗚呼…っ」

メディ
「君が使いたくない魔法も教えた。剣術や体術があっても、助からないと思った時に魔法に頼れるように。…彼は1番に君の無事と幸せを願っていた…あの彼を変えたのはレティシアくんだ…!」

レティシア
「……っ…何が言いたい」


メディの重い拳を受け止めながら、レティシアは彼を睨む


メディ
「そんな彼の生き甲斐となった君を私も守りたいんだ。…だが、無理に魔法を使えとは言わないよ、私も。でも…彼には及ばんが私も君の事を娘の様に大切に思っている。だから…彼が君の為に教えた魔法を衰えさせたらいけない…!」

レティシア
「くっ…説教かよ!」


脇腹にきたメディの蹴りを受け止めたものの、ずるずるっとレティシアの身体は横へと滑る。

初めて聞いたメディの本音。
普段は忙しくてまともに会話をしたりしない。いや、深い所まで話そうと…互いにしていなかったのかもしれない。
レティシアだってメディが言っている事は理解出来る。だが、理解していても受け入れられる訳では無い。


メディ
「君の他を守る為の行動は素晴らしい。レティシアくんの自己犠牲で助かった者は沢山いる。…だが、魔法が間に合うのなら…魔法を使ってくれ!」

レティシア
「…っ……!」


圧倒的な強さと思いにレティシアは押され気味で集中できない。暫く、じっとして観ていたジルヴァだったがレティシアの心が荒れているのが分かるのか助けに行こうとする。
が、それをルシアンが腕に力を込めて阻止する


ルシアン
「少し我慢してくれ。…あいつには多分…必要な事だ」


真剣に2人を見詰めるルシアンを見上げたジルヴァは、理解したのか暴れるのを止め大人しく大好きなレティシアを見る



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