第22章 貴方の面影をなぞって
そんなのは嫌だとレティシアは、ぐっと拳を握りメディを見る。
レティシア
「分かった」
それを聞いたサーラとアレクシは訓練生達の元へ行き、何かあった時に守れるようにする。
静かに会話を聞いていた訓練生は、まさか司令官と指揮官の魔法ありの手合わせになると思っていなかったので…楽しみと緊張が混ざる。
ルシアン
「ソフィア、ジルをこっちに」
ソフィア
「え?…あ、はい」
ルシアンはジルヴァを抱いているソフィアの前に行くと彼を受け取ろうと腕を伸ばす。良く分からないもののソフィアは彼へジルヴァを預ける
オリヴィア
「どうして?」
ルシアン
「こいつはレティシアに危険が迫ったら助けに入っちまう。小さくされた状態じゃ何があるか分からん。…ジルが傷付くのをレティシアは望んでないしな」
オリヴィア
「…成程ね」
ルシアンの腕の中で彼を見上げているジルヴァは不思議そうにするものの、優しく頭を撫でられると嬉しそうに目を細めた
ノア
「あー、何かドキドキすんねリアムくん!」
リアム
「そっすね。…司令官が魔法使うの初めて見ます」
ノア
「殆どの人が見た事ないんじゃないかな?…さて、オレも気を張んなきゃな」
リアム
「え?」
ノア
「皆に何かあったら困るっしょ?いつでも守れるようにね」
そうか、ノアさんは魔法が使えるから…とリアムが納得する。
ちらっと同じく魔法が使えるオリヴィアを見ると、彼女もまた既に集中していた。だが、気になったリアムはノアへ視線を戻す
リアム
「けど、そんなに激しくなりますかね?」
ノア
「ルシアンくんがジルくんを預かったって事は結構な激しさになると思うよ」
その言葉にリアムは僅かに目を丸くするも、すぐに2人へと視線を向ける。
メディ
「…準備が出来たようだ」
レティシア
「………」
瞼を閉じふぅっとゆっくり息を吐き出してからレティシアは、すっと瞼を持ち上げる。彼女の瞳は真剣と本気の色になっていた。
それを見たメディもまた息を軽く吐き出す
ピリッとする空気を肌で感じた訓練生は、初めての感覚に息を呑んで2人を見詰める