第22章 貴方の面影をなぞって
レティシア
「あー…?あんた等ちゃんと訓練してるか?」
至極不思議そうに問い掛けるそれにルシアンは、何度目かの溜息を吐き出した
ルシアン
「お前が強いんだよ…俺ら誰に訓練つけてもらったと思ってる」
レティシア
「ユリスだけど…ユリスが基準じゃねぇの?」
ルシアン
「ねぇよ、馬鹿」
レティシア
「えぇ…」
優秀過ぎるユリスに体術も剣術も様々な事を学んだ2人は…特にレティシアの基準はユリスだった。
だが、元よりユリスの強さしか知らなかったし、稽古相手もルシアンが相手だったのも良くなかったのかもしれない。
彼女がユリスから1本を取れた事は1度もない。だから、余計に頑張った。
リアム
「そういや、レティシアって良く回し蹴りしてるよな」
ルシアン
「あぁ…ユリスが回し蹴り得意だったんだ」
リアム
「へぇ、そうなんすか」
だから、彼女もユリスに少しでも近付きたくて回し蹴りを特に練習したのだ。
今まで黙って見ていたメディが突然、立ち上がるとレティシアの方へ顔を向ける
メディ
「じゃあ、レティシアくん。私とやってみないかい?」
レティシア
「え、メディと?」
その場にいた全員が驚く。
まさか司令官であるメディ自らがそんな事を言うなんて。
メディ
「手加減はしなくて良い。どうだい?」
レティシア
「…やる」
メディ
「良かった。…それで、どうだろう。魔法ありでやるのは」
レティシア
「は…?」
メディ
「君が魔法を使いたくないのは知っているよ。でも、ここは魔力を持って生まれた子が集う場所だ。彼等の中にも数名いる」
レティシア
「つまり、それを学ぶ所でもあるのに魔法を使わない授業を行うのはどうだ…と言いたいわけか」
メディ
「その通り。…いざとなれば魔法を使っている様だが、あまり使わな過ぎると衰えてしまうよ?」
レティシア
「………」
メディの言葉は言い返せない程、全てが正しい。
自分勝手に使わな過ぎるのは魔法でしか助けられない人を助けられなくなる、という事だ。
手が届く距離でなんて…どれだけ頑張っても限界が来る。
それを分かっているからこそ、レティシアは必要であれば魔法を使っている。が、磨かなければそのままか衰える一方だ