第22章 貴方の面影をなぞって
レティシアの方へリアムが近付くと背中を思い切り押された。
そこへ丁度戻って来たノアとぶつかりそうになって慌てて避ける
ノア
「おお…っ」
リアム
「すみませんっ」
ノア
「や、大丈夫。頑張ってリアムくん」
リアム
「はい…!」
しっかりと頷いたリアムは早足で中央へ移動する。
レティシア
「ルシアン」
ルシアン
「何だ」
レティシア
「リアムには何人が良いと思う?」
ルシアン
「………。そうだな…2人だな」
レティシア
「分かった」
知らされたリアムはぐっと拳を握り気合を入れる。
中央に寄ってきた訓練生2人はリアムへお辞儀をする
訓練生
「宜しくお願いします!」
リアム
「嗚呼…!」
サーラ
「始め!」
1人がリアムと同時に走り出し距離を詰め、彼の頬を殴ろうと拳を振るうが、それをリアムは一歩後退して避ける。
そして一瞬しゃがんでから立ち上がり思い切り腹部へ拳を埋め込む
訓練生
「うっ…!」
苦しさに顔を歪め痛みに身体を曲げる。だが、そっちに集中していて意識が逸れたタイミングでリアムの背後からもう1人が彼の腹部に腕を回し、思い切り投げ飛ばす
リアム
「おわっ…!」
その瞬間に訓練生達は、わっと盛り上がる。
ずるずると滑る脚を何とか踏ん張るリアムだったが、眼前には既に体勢を整えた2人が迫っており…拳と蹴りが飛んでくる。
拳を受ける覚悟を決めたリアムは歯を食いしばり、脇腹に入った脚を掴む
リアム
「……っ」
訓練生
「わ…!」
脚を掴んだまま思い切り横に振り拳を埋め込んだ訓練生の脇腹へとぶつける。2人は崩れる様にして床に倒れ込む
サーラ
「やめ!」
リアム
「はぁっ…危なかった…!」
大きく息を吐き出して腰に両手を当て天を仰ぐリアムは安堵していた。自分もちゃんと勝てたと。
それから顔を戻して倒れる2人へ手を差し伸べ、起こしてやる
リアム
「凄かったな!もうちょいでやられる所だった!」
彼の明るさに2人は目を丸くする。そんなに正直に言われると思っていなかったからだ。確実にリアムの言葉は彼等への励みと変わった