第21章 対象者の壁となれ
レティシア
「私が銃を無力化する。その後は…あんた等に任せる」
ルシアンとリアム、キールはしっかりと頷くがランナはまた目を丸くする。
任せる…それは信じているから出来る事
ランナ
(あぁ…最初から私は適わなかったんだな…)
そう内心で呟くランナは、ふっと笑い
ランナ
「任せて下さい。絶対に捕まえてみせます」
それを聞いたレティシアは「上出来」と笑い。
彼女の変化にルシアン達は驚いたものの、すぐに嬉しそうに笑みを浮かべた
魔法で気配を消したレティシアは素早く銃を構えている黒ずくめの3人の背後に立つ
レティシア
「あんた等…集団の中でも弱い方だろ」
「……っ!?」
背後から聞こえる声に驚いた3人は慌てて振り向き銃を構えるものの
レティシア
「フィピテオ」
「……!」
呪文を唱えられた事で焦った3人が引き金を引くものの手中にあるのは銃の形をした、ただの木だった。
その変化に分かりやすく3人は戸惑っており、控えていたリアム、ランナとキールが3人を後ろ手で拘束する。
一気に訪れる穏やかさに全員が息を吐き出す。
辺りに人の気配は全くなく終わったのだと、近くの守護所に連絡して武装集団を任せる事にした。
腰を抜かしていたドレイクはジルヴァにとても感謝しており、キールが車に戻る事を提案すると、命を狙われているのが悪戯では無かった事を理解したドレイクは素直に応じた。
リアム
「ひとまず安心…ってとこか」
広場のベンチに腰掛けサンドイッチを食べながらリアムが呟く。
セキュリティも頑丈さも抜群である建物での会合な為、皆に休憩の時間が与えられた。
皆と少し離れたベンチに1人腰かけてサンドイッチを食べているランナの姿を見て、レティシアは立ち上がり彼女の隣へと移動する。勿論ジルヴァもついて行きレティシアの膝に飛び乗る
特に彼女はレティシアに文句を言う事もなくサンドイッチを口にする
ランナ
「……私は貴女に嫉妬していたのかもしれません」
レティシア
「……?」
不意に掛けられた言葉の意味が分からずレティシアは、彼女へ視線を向けて首を傾げる。
その視線に気付きながらもレティシアを見る事はせず手元にあるサンドイッチを見ていた