第21章 対象者の壁となれ
─バンッ
レティシア、ルシアン、リアム
「……っ!?」
突然、響き渡る銃声に全員が驚くもののキールとランナは戦闘中なため、その動きを止めなかった。
だが、その銃口が向く先へランナが隙を見て視線を揺らすと…ドレイクを捉えていた
ランナ
「ドレイク様…!」
ドレイク
「ひっ……!」
ドレイクは向けられた銃口と音に怯え両耳を押さえるだけで、逃げる事なんて出来ない。その姿にキールとランナは焦るものの助けるのを許さないとばかりに、彼等と戦っている相手の攻撃が激しくなる。
ランナ
「……っ…!」
真っ直ぐに弾はドレイクの心臓を目指して飛んでいき貫こうとする。
だが…
ジルヴァ
「ウゥ…!」
ランナ
「なっ…」
キール
「……っ」
飛び上がったジルヴァが小さな羽で弾を弾く。
カランカランっと高い音を響かせて地面に落ちる…それがドレイクの安全を表していた
ランナとキール…2人と戦闘していた黒ずくめの2人までその光景に驚いていたが、それが普通のレティシアとルシアン、リアムは動きを止める事無く隙を生かすようにレティシアとルシアンが同時に蹴りを入れる。
「……っ…!」
それに驚きつつも咄嗟に対応出来なくて地面に身体を横たえる。
それを逃さずリアムはルシアンが倒した相手を、レティシアは自分で相手を拘束する。
一瞬の出来事だった。驚いているうちに捕まっていた。
ランナは全員を庇うように立っている守護官3人を見てから、彼女に背中を向けているレティシアを見る。
この人は信用できる人だと、何を意地になって彼女を威嚇し警戒していたのだと。
普段であれば別組織とも手を取り合って任務をこなしていたのに…今日に限って。彼女にどうしようもなく苛立ってしまって。
ランナの目にレティシアの背中は先程とは違って見えた。と、同時に自分の不甲斐なさ。私情の持ち込みをしてしまった事への罪悪感と後悔。
レティシア
「後悔するにはまだはえーだろ。しっかりしな」
ランナ
「……っ…そうですね」
前を見据えたまま吐き出されたレティシアの言葉にランナは一瞬、目を丸くするもすぐに口角を上げて拳を握る。
それを確認したレティシアの口角も上がっていて、不意に全員へと視線を向ける