第21章 対象者の壁となれ
ルシアン
「リアム!交代だ!」
リアム
「……っ!?」
その言葉に一瞬、疑問を持ったリアムだったがすぐに意図を理解し、相手の隙を見て背中を向ける。
勿論そんな絶好の機会を逃すわけもなく相手はリアムの背中を斬ろうとナイフを振り上げる
ルシアン
「させるかよ…っ」
リアムと入れ替わったルシアンが腕をクロスして振り下ろされた手を受け止めてリアムの危機を救う。
その逆で相手に背中を向けたルシアンに小柄な人物が振り上げた拳をリアムが掴み、思い切り地面へと叩き付ける。
相手が刃物を持っている場合の戦いをリアムも経験しているとはいえ、やはりルシアンの経験には適わず相手を交換したのだ
ルシアンとナイフを持つ相手は1度、距離をとるが…すぐに地を蹴り間合いを詰める。
先程まで有利だった相手だが身軽に避け、そして確実にダメージを食らわせてくるルシアンに徐々に押され、呼吸を肩でするようになる
ルシアン
「これで…終わりだ…!」
「……っ…!」
ナイフを握っていた腕を脇に挟まれ固定されたまま右頬を殴られると…からんっと音を立ててナイフが地に落ち、相手から力が抜ける。ルシアンはゆっくりと地面に寝かせ手を拘束する。
ルシアン
「よし…」
一つ息を吐きルシアンが振り返ると…
リアム
「くそ……がっ!」
「……!」
回し蹴りされた脚を受け止めたリアムは、そのまま引き寄せバランスを崩させると地面に倒し素早く拘束する。
リアム
「はぁっ…終わった…!」
ルシアン
「まだだ」
疲れた様に吐き出すリアムにルシアンがすかさず否定する。
それを聞いたリアムは、はっとして苦笑を浮かべ後頭部を掻く
リアム
「そうでした。…あの二人もそろそろ終わりそうすかね」
ルシアン
「嗚呼」
レティシア
「割と戦闘慣れしてやがるな。…手伝いに行くぞ」
いつの間にか2人の背後にいたレティシアに僅か驚いたもののすぐに頷く。
ここまで戦闘慣れしている集団が来るという事に、余程ドレイクを会合に参加させたくないのが分かる。確実に彼の息の根を止めてやりたいのだと。
過激な事を考えるな…とレティシアは頭を抱えそうになりつつも、戦っているキールとランナの元へ向かう