第19章 束の間の休息
風に靡く金の長い髪を押さえながら船から見る、街の光を映しているレティシアの紫の瞳はキラキラと輝いていた。
海に反射した街の光がレティシアを照らし、リアムはその横顔に思わず見惚れる
今の彼女の姿は、まるでどこかの絵画に収められているように美しかった
─カシャ
リアム
「?」
レティシア
「あ、ノア!」
ノア
「ごめん、綺麗だったからつい」
音の正体はノアのスマート端末のシャッターだった。
それはレティシアの方を向いており、気が付いた彼女が声を上げるもニコニコと笑ってノアは取られないように端末をしまう
レティシア
「たく…んなの撮ってなんになるんだ」
まったく…とレティシアは呆れた様に息を吐き出す。
ソフィア
「み、皆さん…温かい飲み物、お持ち…しました」
オリヴィア
「コーヒーと紅茶に…ココアも貰ってきたわよ」
ルシアン
「おい、オリヴィア。大丈夫か?」
オリヴィア
「大丈夫よ」
ノア
「わ、オリヴィアさん!オレ持ちますよ」
ソフィアがポットとカップが乗ったトレーを持ち、オリヴィアが小さめのテーブルを持って現れればノアが慌ててそのテーブルを受け取る。
ルシアン
「持って来てくれると言ったんだから、わざわざ自分達で運ぶ必要なかったんだ」
小さく溜め息を吐き出しながら呟いたルシアンは2人の後ろで折り畳み式の椅子を左右の肩に、鞄のように3脚ずつぶら下げていた。
リアムは彼に近付き片方の椅子を受け取ろうとするが、肩を引いて拒否されればリアムは不思議そうに首を傾げる
ルシアン
「俺は大丈夫だ。それよりソフィアを頼む、ポットが3つも乗っているから俺が持つと言ったんだが…椅子を持っているから、と聞かなくてな」
リアム
「分かりました。…ソフィア、これ俺が持つ」
ソフィア
「あ…ありがとう、ございます」
普段、重い物を持たないソフィアが3つのポットの重さで乗っている6つのカップが、カタカタと音をたててソフィアの限界を知らせていた。リアムがトレーを持つとソフィアは安堵したのか、息を吐き出す