第19章 束の間の休息
レティシア
「知ってるか?美味いものは腹壊さねぇんだよ」
ルシアン
「どういう理屈だそりゃ」
ノア
「はは、何だそれ」
オリヴィア
「私…お嬢、見てるだけでお腹いっぱい」
レティシア
「タダでこんなに食えるんだ。食える時に食っておかなきゃな」
ノア
「普段も結構食べてると思うけど?」
レティシア
「違う、ノア。タダ、だからだ」
凄く真剣な表情で言うものだからノアは一瞬きょとんとすると、すぐに笑ってしまう。
呆れたりしている者もいる中で、ただ1人目を輝かせている者がいた
ソフィア
「相変わら、ず…良い食べっぷり、です」
両手をぐっと握りながら嬉しそうに眺めているのは、ソフィアだった。彼女はレティシアの中に次から次へと消えていくのを見るのが好きらしい。その理由もきっと自分が食が細いから
それから、漸く満足したレティシアはチョコレートケーキとティラミスを食べて、食事を終えた。
リアム
「レティシアって甘いもんは、そんなパクパク食わねぇんだな」
レティシア
「そうだな…甘い物はそんなに入らん」
ルシアン
「こいつは昔からこうだ」
久し振りに訪れた、ただ食事をゆっくり食べる時間。
いつ任務が入るか分からない為、中々ゆっくり食べるという事は出来ない。出来たとしてもそれは夜だけ。
特別室メンバーでゆっくり何ともない他愛ない言葉を交わすのも、あるようでない時間だった。
この食事会で仲が深まった様な気が…全員がしていた。
ここから出たらまたいつもの日常が戻ってくる。
短い時間でも何も考えずのんびり出来た事が心身共にメンバー達を癒した。
レティシア
「おー…こりゃ凄い」
リアム
「レティシア、大丈夫なのか?」
レティシア
「大丈夫って…何がだ」
リアム
「いや、だって高所恐怖症で水に囲まれてんの苦手なんだろ?」
レティシア
「内側に居るし、夜だから海も見えねぇから今は問題ない」
食事を終えた全員で下船まで楽しもうと船の外へ出ていた。
端の方へは近付かず船の外へ出たレティシアをリアムが心配したが、下を見ず海も暗く染っているため平気な様だ