第17章 醜い真実
レティシア
「悪いが、それは断る。私はメディが作ってくれた特別室が好きだ。だから私は、特別室の仲間が居るそこでしか指揮官をしたくない」
隣で聞いていたルシアンの表情が柔らかくなる。
そして、メディは仕方ないというような笑みを浮かべ身体を背もたれに預ける
メディ
「君が気に入って、そこが良いと言うのなら無理強いはしない。…これからも頑張っておくれ」
レティシア
「嗚呼」
メディ
「ルシアンくんもありがとう。これからも頼むよ」
ルシアン
「はい」
レティシア
「あぁ、それと」
メディ
「?」
部屋を出ようとしていたレティシアが振り向くとメディは緩く首を傾げる
レティシア
「次の指揮官長にアレクシを推薦したい。彼は有能だ。…何よりちゃんと部下や人々の事を考えている」
メディ
「はは、君にそんな事を言わせるなんてね。…考えておくよ」
レティシア
(あんな奴ではあるが…守護官としては尊敬出来る)
探る為に近付いた補佐官のアレクシ。
女性にはダラしないが、あの日…初めてちゃんと深くアレクシと話してレティシアは思った。
人々の幸せを考え、守る覚悟がある者だと…だが、指揮官長がやる事を容認していた事は許せない。
だからこそ…自分がその立場になり犠牲にした者の代わりに、幸せにする者を多くして欲しいとレティシアは願い、推薦した。
レティシア
「じゃ」
ルシアン
「失礼します」
─パタン
メディ
「ふふ…ユリスくんとエドゥアルくんが仲良かった時みたいになってきたね」
1人になった部屋で、ぽつりとメディが呟く。
だが、メディも今のエドゥアルを許していない内の勿論1人だ
話を終えた2人が司令官室から出ると不安気な表情を浮かべたアレクシが立っており、出てきた2人に気が付くと壁から背を離して2人を見る
アレクシ
「あ……えっと」
レティシアに話、それが探る為だと知ったアレクシはルシアンにもバレている事が気まずいのか言葉に詰まる。
レティシア
「言ったろ。あんたの家庭を壊すつもりは無い。…それに、優秀な奴を失う訳にはいかねぇだろ」
不倫で辞めさせられるかは分からない。
だが、それが世に出てしまえば話は変わってくるだろう。