第17章 醜い真実
─ 翌朝 ─
レティシアとルシアンは司令官室に居た。
メディ
「その顔は…何か深刻な話だね」
2人の顔を交互に1度見たメディは口元を緩く笑ませながら静かにかける声は、話の濃度を理解していた。
レティシア
「これは私の胸ポケットに刺したペン型カメラが捉えた真実だ。…ルシアン」
ルシアン
「こちらです」
レティシアの呼び掛けに頷いたルシアンが持っていたタブレットを指先で操作し、液晶画面をメディの方へ向ける。
ルシアンがタブレットの再生マークを押すと、そこには昨日のシモンの醜態がしっかりと映し出されていた。
映像をメディは目を細め親指と人差し指で顎を挟みながら眺める。
メディ
「ふむ…」
見終えたメディは特に何か言うでもなく瞼を閉じた。
そんなメディを見ながらレティシアは口を開く
レティシア
「ここに来る前にジルを撃った男に会ってきたが、本当に何も知らないらしい。…ただ、捕らえられそうになったら人獣を殺せという事と…私を殺せと命令されただけだった」
メディ
「はぁ…こんな事を思っていたなんてね。ごめんね、レティシアくん」
レティシア
「……?」
メディ
「彼をネリネの指揮官にして、ルビーの指揮官長にしたのは…この私だ。そのせいで君を傷付けただろう」
眉尻を下げて頭を下げるメディの言葉にレティシアとルシアンは目を丸くする。
彼もレティシアを幼い頃から知っている。幼い時に囮にさせたりとはあったものの、彼なりに大事に思っているのだ。
メディ
「ただ…君もジルヴァも命を落とさなくて良かった」
レティシア
「ありがとう…メディ」
メディ
「嗚呼。弱い者を守らなくてはならないのが私たち守護官だ。それなのに、指揮官長が人々を傷付けていた…彼には辞めてもらう。……どうだい?私は君を指揮官長に指名していた。彼が辞めたら指揮官長は居なくなる。…今度こそレティシアくんが指揮官長になってくれないかい?」
絡めた指の上に顎を乗せ、立っているレティシアを優しくも期待する様にメディは見上げる。
だが、元々は指揮官長に自分がなるとも…なろうとも思っていなかったレティシアは、ふっと笑みを浮かべ