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Smile Bouquet

第17章 醜い真実




リアム
「嗚呼。…あの人、お前の昔馴染みなんだろ。あんなん…悲しいだろ」

レティシア
「悲しくないさ。あーいうのは何人も見てきたからな」



そう言って笑うレティシアの横顔はとても寂しそうで、その瞳は景色ではなく昔の思い出を見ているようでリアムは苦しくなった。
だが、かける言葉が浮かばず…また自分の手元に視線を落とした─…








─その日の夜…





薄暗い牢屋に立つ1つの影。



母への愛の他に"貴方に会いたくてたまらない"という花言葉がある赤いカーネーションと"切なる願い"の花言葉を持つかすみ草が寄り添った花束を、ユリスが亡くなった場所に置いたレティシアは…1人それをぼーっと見詰める



─カツン…カツン…



耳に届く誰かの靴音はレティシアの後ろで止まった



ルシアン
「レティシア」

レティシア
「……ルシアン」


悲しい時、辛い時、苦しい時…そして楽しい時。
どんな時でも傍に居てくれるルシアンの声にレティシアの涙腺は緩みそうになるが、唇を噛んでそれに耐える


ルシアン
「俺の前で無理するな」

レティシア
「……っ…」


優しく頭を引き寄せられ、レティシアの顔は薄いYシャツ越しに伝わる厚い胸板の温もりと石鹸の匂いが彼女の涙腺を刺激する


ルシアン
「今は指揮官でいなくて良いんだ」

レティシア
「ぅ…っ」


ルシアンの落ち着く声に涙のダムは決壊し次から次へと涙が溢れる。


レティシア
「苦しい…っ…苦しいんだ。あんなに優しかったシモンが私を殺したいくらい、憎んでて…人獣も生み出して…っ…ユリスが死んだのも、ジルが…撃たれたのも…っ、全部…私のせいだ…っ」


言葉に詰まりながらも溜まっていた膿を吐き出していく。
自分勝手な理由ではあるものの、それを作り出してしまったのは自分のせいなんだと。
その結果、大事な人を傷付けたのは自分だと…
自分を責めるレティシアをルシアンは優しく抱き締めてやる


ルシアン
「お前のせいじゃない。レティシアは何もしてないだろ」

レティシア
「けど…っ」


胸元に顔を埋めていたレティシアは顔を上げて言葉を吐き出そうとするも、ルシアンが優しく左頬に触れて柔らかく笑む



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