第17章 醜い真実
シモン
「嗚呼そうだとも!私は自分が指揮官長になると思っていた!なのに、選ばれたのは君だ!…何とかして君が指揮官長にならない方法を考えた。そして、思い付いたのが…ユリスくんを殺す事だ。彼が死ねば君は暴れる。そんな暴れる奴を…誰が指揮官長として慕うんだ?」
レティシア
「自分の昇格の為に人の命奪いやがって…そんな奴が、人を守る仕事になんか就いてんじゃねぇよ…っ」
シモン
「君のせいだよ。…君を殺す為に彼等は犠牲になった」
レティシア
「だったら!私だけを狙えば良かっただろ!何故、関係の無い人達を巻き込んで傷つける!私はどんな痛みでも耐えられる!けど、仲間や誰かが傷つくのは…耐えられない。てめぇのちっぽけな理由のせいで街の人達がどれだけ傷ついたと思ってんだ!」
目に涙を溜めながら怒り声を荒らげるレティシアを、シモンは恨めしそうに見詰める。
シモン
「君のそういう所が嫌いだ」
まるで子供の様な理由を当然の様に吐き出したシモンは落ち着きを取り戻していた。理解など誰一人出来るわけもなかった。
自分勝手で滅茶苦茶なそれは許される筈もない。ましてや、人を束ねシンメの校長として育成する立場に居る彼が私欲に溺れているなんて
ルシアン
「…レティシア、何を言っても無駄だ」
ノア
「そうだよ。…行こう」
涙を流しながら怒りをぶつけるレティシアは、あの日…ユリスが殺された時の事を思い出させ2人は苦しさに耐えられず、その言葉にレティシアが頷くと今度こそ指揮官長室を後にする
ルシアンが運転する車内は静かだった。
助手席に座るノアは流れる景色を眺め、後部座席ではレティシアが窓に頭を預けて景色を眺め、リアムは自分の手元を見て座っている
リアム
「大丈夫…じゃねぇよな」
不意にリアムは静かに声を掛けると、レティシアは景色を見ながら口を開く
レティシア
「大丈夫って…私がか?」
薄らと笑みを零しながら吐き出されるそれにリアムは、ちらりと隣のレティシアを見て頷く