第16章 正体
─ 翌日 ─
レティシアとノアは特別室で互いが聞いた話を照らし合わせると、同じ内容である事が分かり…行われているそれが事実であるのを理解し嫌そうに顔を歪める。
そして、特別室メンバーが集まると話し始める
レティシア
「まずは…そうだな。人獣の正体について話すか」
彼女の次の言葉を全員が、どこか緊張した面持ちで待つ
レティシア
「あれは…生きている人間だ。いや…人間だったんだ」
リアム
「は…?」
レティシア
「人は魔獣のようになれるのか、なった時に人の心は保ったままなのか…っつークソみてぇな実験の為に出来ちまった元人間…だな」
平静を装って話しているつもりだが、レティシアの組んでいる手には力がこもり自身の腕を強く掴み…言葉には怒気がこもっている。
話しを聞いた特別室メンバーも拳を握ったり、奥歯を噛み締めたりしている。
ノア
「で、この前オレ達が見たのはやっぱり行方不明になった奴だ。…人の心は見た通り無かった、限りなく魔獣に近い存在」
レティシア
「つまりは失敗作、らしい」
ルシアン
「何が…失敗作だ」
ソフィア
「酷い…です」
オリヴィア
「それを企んだ人って…やっぱり」
レティシア
「シモン指揮官長だ」
探る話になった時から目を付けていた人物が、本当にそうだったと知り…全員が息を呑む。
それと同時に憎悪にも似た感情が腹の底から湧き上がるような感覚に陥る
オリヴィア
「けど…どうやって、そんな実験を行っているの?」
ノア
「金、すよ」
リアム
「金…?けど、守護官は困る程の給料じゃ…」
ノア
「何らかの事情で金が足りない奴が居るんだよ、リアムくん。…ギャンブルの借金や手術費…とかね」
ルシアン
「つまり、そういう奴等に参加すれば金を出すと言って唆したっつー事か」
眉間にシワを刻んでいるルシアンの言葉にノアは頷いた
ルシアン
「くそっ…人の命なんだと思ってんだ」
がんっとルシアンがデスクを叩く音がその場に響く