第15章 人か獣か
レティシア
「あんたが怒鳴ってるからソフィアがびびって声掛けられなかっただろ」
リアム
「え、俺のせい?元はと言えばレティシアが悪ぃだろ」
ルシアン
「おら、いい加減にしろ。…ソフィア」
どう話したら良いか戸惑っているソフィアへ助け舟を出したルシアンのお陰で、彼女は息を吐き出して話し始める
ソフィア
「これは…先程、皆さんが追い掛けていた時の映像を鮮明化しました」
やはり仕事の話になるとテキパキと話すソフィアの切り替えははっきりしていて、もはや別人だ。
ソフィアは持っていた端末を4人に見せながら、リアムを除く3人が気になっていた部分を人差し指と中指を滑らせて拡大する
レティシア
「やっぱりか…」
リアム
「…?」
拡大したシルバーのネックレスを見たレティシアの言葉にリアムは首を傾げて彼女を見る。
その視線に気が付いたのか液晶を見ていた紫の瞳をリアムへ向ける
レティシア
「このネックレスは私の元部下がつけていた物なんだ」
リアム
「…え…」
レティシア
「突然、行方不明になったと聞いていたが…。何故あいつがこのネックレスをしているのか」
内容を理解したリアムの瞳は困惑に染る。
顎に手を添えて考えていたレティシアの中にある1つの答えが浮かび上がったが、それを信じたくないのか額に手を当てる。
だが、吐き出し共有しなければならないと思いレティシアは口を開く
レティシア
「あの人獣が、…あいつって…事か?」
彼女の言葉に全員が息を呑む。
ルシアン
「…もしそうだとして、どうやって人を魔獣にするんだ?」
レティシア
「それは分からない。今のだって、ただの予想でしかない」
ノア
「なら、調べるしかないんじゃない?」
レティシア
「……。嗚呼…そうだな」
リアム
「人を魔獣に…」
呼吸が苦しくなるような空気の中、かわされる言葉。
リアムはそれを耳にしながらも、もしもそんな事が出来たとして何になるんだと彼には…いや、それは全員が理解出来なかった