第15章 人か獣か
レティシア
「止まれ…!」
リアム
「…っはぁ」
体力の限界と深追いは禁物。
レティシアの中止の声で全員が脚を止め肩で息をする
レティシア
「はぁ…はぁ、っ」
ノア
「つ、疲れた…」
普段、訓練をしている4人ですらも息が上がりまともに話す事が出来ない。
暫くして息が整うと4人は負傷者が居た場所へ戻る。
重傷者は既にその場にはおらず軽傷者も残っている人は少なかった
ルシアン
「ここは警察に任せて俺達も帰るか」
リアム
「そっすね」
到着した警察は辺りに飛び散った被害者の血の処理を始める。
それを横目にルシアンとノア、リアムが歩き出したがレティシアだけが動かず3人は不思議そうに彼女を見る。
顎に手を添えたまま何かを考え動かないレティシアに、ノアが近付く
ノア
「姫さん?帰るよ」
レティシア
「……仕方ない」
ノア
「ん?」
何が仕方ないのか理解できないノアは首を傾げる。
ゆっくりと顔を上げたレティシアが3人に自分の近くへ来るよう手招きをする。
ルシアンとリアムは互いに顔を見てから、訳が分からないというように近付く
ルシアン
「何だ、帰らないのか」
レティシア
「帰るさ。……フィピテオ」
リアム
「おい!」
レティシア
「何だ」
リアム
「やるなら言えよ!」
レティシア
「瞬間移動の魔法使ったぞ」
リアム
「事後報告!」
ルシアン
「無駄だ、リアム」
レティシアが呪文を唱えた次には特別室に居た。
何の予告もなく瞬間移動の魔法を使われた事に驚いたリアムは当然抗議するが、レティシアは簡単に移動できたのだから文句を言われる筋合いはないというような表情を浮かべている。
彼女が言った仕方ないは魔法を使いたくないが、疲労の方が大きかったため仕方なく使おうという意味だろう
ソフィア
「あ、あの…」
控えめにかけられた声に4人が反応して見ると、申し訳なさそうに視線を揺らしながらスカートを握り締めているソフィアの姿があった。
それを見たレティシアは大袈裟に溜め息を零し、腰に両手を当ててリアムを見る