第15章 人か獣か

大きな手をリアムに向けて下ろすがリアムは持ち前の反射神経で避けるが追撃しようと逆の手を振り上げる


リアム
｢わ、くそ…！｣

ノア
｢ルーウェル！｣

｢グルァ…！｣


追撃しようとする存在に向けてノアが魔法を発動すると、凝縮された空気が当たり人獣は飛んでいく


ノア
｢大丈夫？リアムくん｣

リアム
｢はい、すんません｣


額に滲む汗を拭いながらリアムはノアへ礼を述べる。
ノアの魔法が当たった人獣の脇腹から血が流れていた


レティシア
｢このまま捕まえ……っ!?｣


レティシアが指示を出そうとしたが、何かに気付いて急に詰まる。
勿論それを不思議に思った2人はレティシアを見る


ノア
｢どうしたの、姫さん｣

リアム
｢捕まえんじゃねぇのかっ？｣

レティシア
｢あいつがしてる…ネックレス…｣


その言葉に従う様に2人は人獣の首を見る。


ノア
｢あれって…｣

ルシアン
｢行方不明になった奴の…｣

リアム
｢ルシアンさん｣


いつの間にか戻って来たルシアンの声にリアムが反応する。
明らかに動揺している3人を見てリアムは声を上げる


リアム
｢こんな危機にぼーっとするんすか!?｣

レティシア
｢……っ、そ…そうだな｣

ルシアン
｢…嗚呼｣

ノア
｢捕まえて、探ろう…！｣


事情を知らないリアムの強い声に3人は動揺を打ち消し、捕らえて謎を探る事にした。
そして、4人が僅かに動いた瞬間…人獣は向かってくるのではなく後方にあった路地裏へ滑り込んで行った


レティシア
｢追うぞ！｣

リアム
｢嗚呼！｣


向かってくると思っていた一同は一瞬、目を丸くしたがすぐに後を追い掛ける


ルシアン
｢くそ、入り組んでやがる…｣

ノア
｢脚速すぎ…！｣


狭い路地を大きい身体を上手く使い滑るように走って行く。
それに追い付こうと運動神経が良いリアムを先頭に走っているものの、距離は縮まる所か広がるばかり