第15章 人か獣か
レティシア
「いた!」
大通りに到着するとそこには座り込む女性に腕を振り上げている謎の人物。
その恐ろしさに大通りにいた人達は悲鳴をあげながら逃げる
レティシア
「フィピテオ!」
慌てて腕を振り上げている存在に向けてレティシアが放った魔法はロープとなり、腕に絡みついた。
急に拘束された人物は唸りながら振り向く
ルシアン
「さ、こっちへ」
女性
「は、はい…!」
すかさずルシアンが女性の元へ向い安全な所へ連れて行く。
レティシア
「く、そ…!」
リアム
「レティシア!」
徐々に引き寄せられるレティシアを見てリアムとノアが慌ててロープを共に掴む。
だが、その人物が大きく腕を振ると簡単にロープが切れてしまい、3人は僅かによろけるもすぐに体勢を整える
ノア
「つーか、タイミング良過ぎだよね」
レティシア
「本当にな」
リアム
「やっぱレティシアがちゃんと頼ったからじゃね?」
レティシア
「はぁ?」
ノア
「ほらほら、そんな事言ってるとルシアンくんにまた怒られるよ」
戦闘態勢に入りながらも好戦的な笑みを浮かべて会話をする3人は、目の前の存在から一切視線を外さない。
それは、レティシアが気になって仕方が無い存在…
二足歩行で猫背なため分かりにくいが身長は190cm程の人間の様にも見えるが、額から太い角を2本生やし手は大きく鋭い爪を持ち…赤く光る目に牙を剥き出して唸る姿は獣の様。
レティシア
「ずっとあんたに会いたかったんだ」
ノア
「はー、羨ましい。姫さんにそんな事言ってもらえるなんて…オレ妬けちゃうなぁ」
リアム
「んな事言ってる場合っすか!」
先程、自分も軽口を叩いていたくせに今度はリアムがノアを注意する。
グルルと唸っていた存在が地面を力強く蹴り3人目掛けて突進してくる