第14章 この言葉を送り返そう
リアム
「あ…いや、これは俺のじゃなくてレティシアのだ」
座り込んでいた為、風の流れで彼女の血が頬に着いたのかと思いながらリアムが答えるとルシアンの表情が固くなる
ルシアン
「何?…あいつの攻撃を受けたのか」
リアム
「あの子達と俺を庇って…」
ルシアン
「何…!?くそ、また無茶しやがって…!」
突然、走り出すルシアンを見てリアムは慌てて追いかける
リアム
「ルシアンさん…!」
ルシアン
「危険魔獣指定されてるんだ、さっきの奴」
リアム
「危険魔獣指定…?」
ルシアン
「嗚呼。そいつの牙と爪には毒があるんだ!普通の人間なら1分あればあの世行きだ」
だから、レティシアが受けた傷はシュウシュウと音を立てていたのか…と理解するのと同時に心臓が嫌な音を立てる。
リアム
「けどあいつ、魔法で…それでも駄目なんすかっ」
ルシアン
「少々厄介な奴でな。毒の回りは止めているだろうが…それでも、持って数分だろう」
リアム
「そんな…!」
そこへノアも合流し噴水広場に辿り着くと、地面に肩で息をしているレティシアがおりジルヴァが獅子魔獣の気を引いている
レティシア
「…あんたは危険魔獣指定されてるんだ、人間の勝手で命を奪って…悪いな。……フィピテオ…!」
獅子魔獣
「グオオオォォッ…!」
レティシアの魔法で出現した光る大きな矢が獅子魔獣の分厚い身体を貫き、空を見上げて1度咆哮した魔獣はその巨体を地面へ横たえ…命を手放した
疲労と毒で肩で息をしているレティシアは、悲しげな表情を浮かべていたがその場に倒れてしまった
ルシアン
「レティシア…!」
ノア
「姫さんっ」
慌てた3人が近付くよりも先に戻って来たジルヴァが大きな口を開き彼女を咥内へ収める。
それに驚いているとジルヴァは着地し、羽を下げて3人へ背中へ乗るよう促す