第14章 この言葉を送り返そう
すぐさま理解したルシアンがジルヴァに近付き、硬直している2人を振り向く
ルシアン
「早くしろ!ジルが乗せてくれる!」
はっとした2人は慌てて近付きジルヴァの背中に乗る。
3人が乗ったのを確認するとジルヴァは浮き上がり特別室へ向かって飛ぶ
到着しジルヴァから降り彼の口元にルシアンが近付くと口を開き、レティシアを預け心配そうにする
ルシアン
「大丈夫だ。…お前は小さくなれないから、ここで待ってろよ?」
小さくジルヴァが鳴くのを見ればルシアンは急いで特別室へ向かう。
ノアはジルヴァに付き添う事にして、2人を見送った
ルシアン
「オリヴィア!」
オリヴィア
「準備出来てるわ。早くこっちへ!」
特別室の扉を開けると珍しく焦った表情を浮かべたオリヴィアが声を張り上げた。
ルシアンは衛生室へ連れて行き、後はオリヴィアに任せる事にした
ソフィア
「セトラント広場には、他の守護官さんを…派遣しました。リェグンゼも回収したよう、です」
ルシアン
「…そうか」
リェグンゼとは先程の危険魔獣指定された獅子魔獣の事だ。
その報告を最後にリアム、ルシアン、ソフィアの間には重い空気が漂っていた。
ソフィア
「だ、大丈夫ですよ…レティシア様、は…とてもお強い方、ですから…絶対…大丈夫、です」
その空気を励まそうとしたのは意外にもソフィアだった。
彼女は震える両手を握り締めて声を発していて…もしかしたら、励ますのと同時に自分に言い聞かせていたのかもしれない
リアム
「そう、だな…レティシアだもんな」
ルシアン
「確かにな…あいつは、案外しぶといからな」
ソフィア
「そうです、よ…魔獣の毒で、どうにか…なる方じゃないです」
彼女の言葉により室内の空気は幾分か穏やかになった。
─ガチャ
衛生室の扉が開くと3人は弾かれたように顔を上げ、現れたオリヴィアへと催促するような視線を向ける