第14章 この言葉を送り返そう
痛みからか冷や汗を額に浮かべているレティシアへリアムが声を掛けようとしたが、その前にレティシアが口を開いた
レティシア
「早く行け!ここは私とジルが引き受けるから!」
リアム
「けど…!」
そんな怪我してるのに、リアムが粘ろうとするとレティシアからまた強い口調で言葉がぶつけられる
レティシア
「躊躇うな!その子達を助けられんのは、あんただけだ!ヒーローになりたいんだろ?だったら、早く行け!」
リアム
「…っくそ!すぐ戻ってくるから!死ぬなよ!」
彼女の言葉に後ろで怯えている2人へ軽く視線を向けてから、リアムは覚悟を決める。
そして、急いで2人を抱きかかえて走り出す
レティシア
「死ぬなだと?誰に向かって言ってんだ、馬鹿が。…さぁ、行くか。ジル!」
リアムの言葉に、はっと可笑しそうに鼻で笑うとレティシアは冷や汗を浮かべながらも余裕を覗かせ、ジルヴァを呼び彼の背中に飛び乗る。
レティシア
「フィピテオ!」
─ドォンッ
レティシアが呪文を唱えると大きな雷が獅子魔獣、目掛けて落ちその衝撃に獅子魔獣がよろけるのを見てジルヴァがすかさず、突撃するように背中へ着地し蹴り上げると獅子魔獣は地面に突っ伏す
2人の軽やかな連携を前に獅子魔獣は明らかな疲労が見え始めた
リアム
「ルシアンさん!」
誘導しているルシアンを見付けたリアムは、慌てて彼に声を掛ける。
リアムの無事な姿を見て僅かに安堵しつつ彼が抱えてきた2人を近付いてきたノアが預かり、避難所へ連れて行く
ルシアン
「無事だったか。…レティシアは?さっき合流したと届いたが」
リアム
「あいつ自分だけが残って戦ってるんす、早く戻んねぇと…!」
ルシアン
「分かった。俺も行く……ん?お前、怪我してるのか」
リアム
「怪我?」
無傷であるリアムはルシアンの問に不思議そうにする。
すると、ルシアンは怪我の痕跡がある場所を自分の頬へ指さして教える