第12章 "印"
父
「あぁ…お前がいて良かった…!」
母
「貴女を産んで良かったわ…!」
嬉しそうに涙を流して笑う両親の姿にソフィアから、笑顔が零れた。
初めて自分に笑顔を向けられた事が嬉しかった。
ソフィアの両親は霊媒師が作った組織とやらの幹部に娘のおかげでなった。
だが、霊媒師ではなく宗教団体の教祖であったその女はソフィアのハッキング能力が欲しかっただけである
教祖
「さぁ、ソフィア…今日はこれを調べるんです」
ソフィア
「分かりました」
ソフィアはハッキングが悪い事だと思っていない為、何でもやるが…その1番の理由は両親が喜んでくれるからだった。
自分を見て笑って、沢山褒めてくれて、沢山撫でてくれるのが嬉しかったのだ。
だが、そんなソフィアの気持ちを利用し彼女のハッキング能力で教祖は荒稼ぎをした
ソフィア
「…っ…嫌…やめてください…!」
教祖
「静かになさい!…これは、貴女の身を清める儀式なのです。こうする事で更なる幸福が舞い込むのです」
母
「更なる幸福…ソフィア、頑張りなさい」
父
「嗚呼。…君なら出来るはずだ」
ソフィアは床に膝をつかされ宗教の信徒2人に両手を捕まれ動けないようにされていて、後ろには教祖が熱された棒を持って涙を流すソフィアを見ていた。
嫌がる娘よりも教祖の言葉を尊重する2人にソフィアは絶望にも似た感情を持つ
教祖
「さぁ…身を清め、更なる幸福を神から頂きましょう」
ソフィア
「…っ…あ゙ぁ゙あ゙…!!」
ジュウ…と皮膚を焼く音とソフィアの悲鳴が響き渡った。
ソフィアは味わった事の無い痛みに意識を飛ばした
それから数日…やっと痛みが引いたソフィアは鏡に見える項に刻まれた焼き印を見て表情を歪めた。
これが身を清める行為には思えなかったが、ソフィアは両親が喜んでくれるならと違和感に蓋をした。
だが、洗脳されていないソフィアは段々と自分が行っているものは悪い事なのではないかと薄らと思い始めていた