第12章 "印"
中学生
「俺……魔法が、使える。けど、親に嫌われた事は無い。…ただ、学校の奴等に魔法が使えるのバレて…虐められるようになった。石を投げられたり鞄ボロボロにされたり…殴られたりな」
拳を握る彼の声は小さく震えていた。
魔法が使える事で暴力を振るわれた過去を持つレティシアは、無意識に下唇を噛む
中学生
「殴られても毎日、学校に通った。…親に心配かけたくなかったから…怪我も帰る前に自分で治して。……けどある日から、父さん達の様子がおかしくなって…気が付いたら知らねぇ奴が家に住み着いてて、そいつが家の主みてぇになってた」
リアム
「…それって」
中学生
「何か知らねぇ宗教に洗脳されたらしい」
"宗教"という言葉にリアム以外がソフィアの心配をする。
モニター前にいるソフィアはその単語が聞こえた瞬間、ビクッと身体を跳ねさせた
ノア
「…ソフィアちゃん、大丈夫?」
ソフィア
「だ…大丈夫、です」
隣に補助として腰掛けていたノアが優しく声を掛けるも、ソフィアの声は嘘を吐いているとしか思えない程、震え表情も暗い。
中学生
「だから…俺は守護官に助けを求めた。結局…助けてくれなかったけどな。待てど暮らせどお前等は来なかった」
彼の声にリアムは視線を伏せる。
レティシアは背中を向けている男子中学生に1歩近付き
レティシア
「あんたの気持ち良く分かる」
中学生
「分かるわけない!」
勿論、レティシアの過去を知るわけが無い彼はレティシアの言葉に腹が立ち声を荒らげる
レティシア
「分かる」
中学生
「何でそう言い切れる!分かるわけ無いのに、その場の空気で分かったフリするなっ!」
拳を強く握り締めこちらを向かずに怒鳴る男子中学生に、レティシアはまた1歩近付く