第10章 他を守る者へ
リアム
「息子さんは必ず俺が助けます。…お2人も少し休んだ方が良いです。向こうに避難所があります」
母
「で、ですが…っ」
リアム
「大丈夫ですから」
何とか安心させる様にリアムが笑んで見せると女性は1度、息子に視線をやってからリアムを見る。
母
「宜しく…お願いしますっ」
女の子
「…お兄ちゃんの事…、助けてね…」
リアム
「嗚呼…!」
心配そうに告げる女の子に力強くリアムが頷くと、母親は女の子の手を取って避難所まで走って行く。
リアム
「ぜってぇ…助けるから、待ってろよ!」
そう声を掛けて再び柱を持ち上げる。
リアム
「あと、少し…っ…ぐ……、はぁっ…」
何とか柱は持ち上がり、そのまま男の子の上から退けてやる。
幸い乗っていた時間は短かったのか重症ではあるものの、意識はあるようで
リアム
「もう大丈夫だからな」
男の子
「…あり、がと…」
男の子に微笑みかけてリアムが立ち上がった瞬間、彼の背後から木の板がぐるぐると回転しながら飛んで来て…それに気が付いたリアムは、男の子をしっかりと抱き包み木の板から守る
リアム
「ぐっ…!」
ぐるぐる回っていた木の板は威力が増していて、庇ったリアムの背中を裂いてから地面に落ちる。
リアムは激痛に膝をつき、地面に徐々に広がる赤を見ながらも何とか立ち上がろうとする
レティシア
「リアム…!」
リアム
「…男の子…を、頼む…」
駆け寄ってきたレティシアとルシアンの姿に意識が薄れ、男の子をルシアンに託してリアムは瞼を閉じた。
レティシア
「くそっ…今は時間が無いから、これくらいしかしてやれねぇ。……ソフィア」
呪文を唱えたレティシアのおかげでリアムの血は止まった。
そして、悔しそうに表情を歪めたレティシアは、耳についているインカムに中指を当てて無機質の向こうで繋がるソフィアに声を掛ける
ソフィア
『はい…!』
レティシア
「今からジルをそっちに戻す。…リアムと男の子が重症だ。オリヴィアに伝えておいてくれ」
ソフィア
『承知しました…!』
ソフィアへの連絡を手短に終えるとレティシアは、手袋を外す