第10章 他を守る者へ
レティシア
「今回は人通りが多い場所に大型魔獣が現れた。魔獣を退けつつも人命優先だ」
先程までの和やかな空気は無くなり、緊張感のある空気にレティシアの凛とした声によりかわる。
前回の任務で怪我をし言い合いをしていたルシアンも既に真剣な表情になっていた。
レティシアが微かに緊張の色が見えるリアムに視線を止め
レティシア
「リアム。今回は初めての緊急任務だが普段通りにやれ」
リアム
「お、おう…!」
レティシア
「現場に到着次第、役割をするが…リアムは基本ノアと行動を共にしろ」
リアム
「分かった」
ノア
「りょーかいっ」
レティシア
「ルシアンは私とだ」
ルシアン
「おう」
レティシア
「行くぞ!」
それに各々が返事してから特別室を4人が出て行く。
ルシアンが運転する車が現場に到着し、外に出た4人が見たのは大型魔獣に怯え逃げ惑う人々と、それを追いまわすゴリラの様な魔獣が1頭。
レティシア
「ノアとリアムは市民の避難誘導。私とルシアンはあいつを街から引き離す事だ」
ポニーテールだった髪を素早く団子にレティシアは纏め指示を出す。
それに全員が従い、二手に散らばる
女性
「痛っ…!」
恐怖と人の波に飲まれた女性が自身の脚に引っ掛かり転ぶと、リアムが駆け寄り手を貸す
リアム
「大丈夫ですか!」
女性
「は、はいっ…すみません」
リアム
「1人で歩けますか?」
女性
「はい……っ後ろ!」
女性がリアムに立たせてもらい言葉を紡ごうとしていたが、リアムの後ろを指さして叫ぶのを見て彼が振り向くとそこには、大きな手を伸ばすゴリラ魔獣の姿が
レティシア
「私と遊んでる最中だろうが…余所見すんなよ、くそ野郎」
リアム
「レティシア…っ」
レティシア
「止まるな!早く避難誘導しろ!」
リアムと女性に伸ばされる手の間にレティシアが現れ、水色の壁で塞いで強く叫ばれればリアムは、はっとして頷き女性の手を掴み走り出す