第8章 大切で残酷な暖かい過去
ユリス
「俺は何があっても、レティシアの味方だからな」
レティシア
「ありがとう、ユリス」
身体を僅かに離し目を合わせて笑い合うと、自分は指揮官長にちゃんとなれるかもしれないと自然に思っていた。
部下3
「じぎがんっ…ぼぐ、ぼぐは…嬉じぃでずっ…!」
レティシア
「…どうした、顔ぐちゃぐちゃじゃないか」
レティシアが牢獄から戻って来ると部下の1人が号泣していた。
それを見たレティシアは若干引きつつもハンカチを取り出し、部下の顔を拭ってやる
レティシア
「ルシアン、これはどういう事だ」
ルシアン
「レティシアが指揮官長になるって分かって皆、大喜びだ」
レティシア
「…にしても、こんなに喜ぶ事か…?」
部下2
「喜ぶ事ですよ!…命令違反をしていた私達を怒る事もなく、庇ってくださった…そんな優しい指揮官がルビーの指揮官長になるだなんて。…嬉しい以外ありません」
レティシア
「少し良く言い過ぎじゃないか?私はあの時、本当にルシアンと2人の方が円滑に─」
部活2
「もぉ!指揮官ったら!照れちゃって!」
レティシア
「いっ…!」
女性部下は最後までレティシアに話させる事無く、ばしっと背中を叩く。
あまりの力強さにレティシアの身体はルシアンにぶつかるも、彼が当たり前のように受け止める
レティシア
「馬鹿力め…」
恨めしそうに彼女を見詰めるレティシアの頭を、身体が離れたルシアンが優しく撫でた
ルシアン
「これもお前の頑張りの賜物だな」
レティシア
「…あの時は本当に2人で出来るからって思ってたが…今では皆が居なきゃ出来ないな」
ルシアン
「だな」
まるで自分の事のように喜んでいる部下達を見て、レティシアとルシアンは目を細めて優しくその光景を見詰めた。