第8章 大切で残酷な暖かい過去
レティシア
「ユリスがそんな事するわけないだろ」
ルシアン
「そうです。あいつは誰かを裏切る事を嫌います。絶対に有り得ない」
メディ
「うん。私もそう思ってる」
レティシア、ルシアン
「は…?」
イマイチ良く分からない事を発するメディが、2人は不思議でたまらず。
理由を乞う様に視線を送るしか出来ない
メディ
「つまりは冤罪だ。…何故そうなったのか私には分からない。ただ…今君たちの頭に浮かんでいる人物も、中々に優秀だからね」
レティシア
「くそっ……ルシアン、行こう」
ルシアン
「嗚呼」
レティシアは何も告げなかったが、ルシアンはメディにお辞儀をしてから司令官室を後にし、そのままゼフィランサス第一室へ入る
2人の姿にそこに居た全員が眉を下げる。
だが、その視線を気にする事無くユリスのパソコンを起動させる
レティシア
「…やっぱりだ。家のパソコンにユリスは何かを送信してる」
ルシアン
「俺が確認しに一旦家に帰る」
レティシア
「私も行く」
ルシアン
「いや。お前はユリスの所へ行け」
レティシア
「何で…」
ルシアン
「今にも泣きそうな顔してるぞ、お前」
ルシアンからの言葉にレティシアは固まる。
レティシアは報告を受けた時から心臓が痛くて、身体が冷たくて仕方が無いのだ。
大人にも指示している為しっかりしている様に見えるが、まだ14だ。
親が逮捕されたと聞いて落ち着いていられるわけでもない
レティシア
「…頼む、ルシアン」
ルシアン
「嗚呼。任せておけ」
ゼフィランサスの地下にある薄暗い牢獄にレティシアの脚音が響く。
ユリス
「レティシアか」
1番奥からレティシアの魔力に気が付いたユリスの声が聞こえた。
その声を聞き彼女は1度、息を吐き出してから檻の前に立つと…中で座っているユリスの姿に涙が零れそうになる