第8章 大切で残酷な暖かい過去
レティシア
「あ!ユリス、またピーマン残した!」
ユリス
「勘弁してくれよ…ピーマン食ったら、俺死ぬぞ」
レティシア
「死ぬか!嫌いだから残してんだろっ」
ルシアン
「はぁ…子供みたいな言い訳だな」
料理が全く出来ないユリスに代わってエドゥアルが食事を作っていた為、彼が来なくなった今ジャンクフードが増えてきた事の偏りにレティシアが料理担当になった。
最初は焦がしたり、生焼けだったり、しょっぱい部分と味が無い部分があるものを作ったりと失敗ばかりしていた。
失敗し不味くても文句を言いながらも完食してくれる2人に、美味しいものを食べさせたいと頑張った結果…今では彼女の手料理が彼等の好物になっていた。
ちなみに、ルシアンもレティシアが指揮官になってからは、ユリスの家で共同生活をしている。
レティシア
「次は絶対ピーマンに気付かせない物を作る…!」
ユリス
「俺のピーマンセンサーは優秀だからな、どれだけ頑張っても無理だな」
レティシア
「見てろ!知らずに食べて、それピーマン入ってるって言って驚かせてやるからな!」
ユリス
「やってみろ、やってみろ」
ルシアン
「ユリスが悔しがるの見たいから、良いレシピないか俺も探す」
ユリス
「おい!」
レティシア
「ありがとう、ルシアン!」
賑やかな食卓にエドゥアルの姿はないが、それを口にする者は誰も居ない。
ルシアンも17歳だ、無闇に突っ込んだりはしない
─ ??? ─
「これ」
「確かに」
「そろそろ…教えてくれても良いんじゃないか?」
「いや、まだだな」
「……」
「諦めるか?」
「…いや、今更…諦められない」
────────── ╴╴
レティシア
「これで…」
ルシアン
「………」
レティシア
「どうだ!」
ルシアン
「お…これは勝ったな」
その日、勤務時間を終えたレティシアとルシアンは2人でキッチンに肩を並べていた。
今日こそはピーマンを食べさせると、ルシアンが探したレシピを試しており、味見をしたルシアンの反応にレティシアが嬉しそうにする