第3章 身をもって
綺麗な金の髪は寝ていたからか少し乱れており、大きな猫目は眠そうだがその中の紫の瞳はしっかりとリアムを捉えていた。
その瞳と右目の下にあるほくろはどこか懐かしいような、それでいて射抜かれるような感覚に陥り思わず固まる
「特別室指揮官のレティシア·ロベールだ」
ノア
「やっぱそっちで名乗んのね…」
レティシア
「文句でもあるのか?」
ノア
「や、いえ!無いです、はい!」
突っ込んだノアはレティシアに鋭く睨まれて、慌てて取り繕うように笑って両手を横に振る。
だが、リアムはノアの言葉にそう言われるという事は彼女の本名では無いのか、と疑問を持ったものの初対面でそんな事聞けるはずもなく今は黙っている事にした
リアム
(それよりも…指揮官ってこんな感じなのか?もっと、テキパキやってんじゃ…)
指揮官とは各実行基地の長である。
その為、1つの基地にヒガンバナには2人も指揮官がいる事になってしまうが、リアムはその事よりも自分が想像していた指揮官像とは違って僅かに戸惑った
レティシア
「特別室がどんな所かは聞いたか?」
不意にレティシアから問われたそれにリアムは慌てて首を横に振る。
すると、ホットパンツから伸びるガーターベルトが晒された脚を組みその膝に頬杖をついて、溜息を零す
レティシア
「メディの奴…丸投げかよ」
リアム
「あ、の…?」
最高司令官を奴呼ばわりしている事にリアムはまた戸惑う。
ここに来てから戸惑ってばかりのリアムに助け舟を出すのは、レティシアの隣に座ったノアだった
ノア
「俺が説明しよっか?」
レティシア
「………」
ノア
「はい、承りました。んじゃ、リアムくん俺から説明すんね」
リアム
「あ、はい…!」
言葉を発していないのに彼女の言葉を理解したノアは敬礼してからリアムの方を向き、近くの丸椅子を指さしてそこに座るように促した。
音を立てないように丸椅子を置いたリアムは素直にそれに座る