第3章 身をもって
ヒガンバナの前に停まった車から降りると、男が特別室への行き方を教えてくれてリアムはお礼を述べ、ヒガンバナ基地に入った
特別室への道は少し変わっていて賑わっている所から離れた扉に"特別室"と木板に記してあった。
リアム
(こういうのは初めが肝心だ…)
そう思ったリアムは、すぅっと息を吸い込んでからノックをして勢い良く入室する
─ガチャ
リアム
「守護所Rから異動してきたリアム·ランベールです!本日よりヒガンバナ基地の特別室の一員として宜しくお願いします!!」
シーン…
思い切りお辞儀をしながら大きく挨拶をしたリアムは、間違いなく拍手がくると思っていた。
だが、リアムの予想とは異なり静まり返った部屋にはタイピング音のみが送られた
リアム
「あれ…?」
おかしいな…そう思って顔を上げると、確かにそこには人が居た。
予想と違う反応にリアムが戸惑っていると奥の部屋から人が出て来た
「ん?あれ!君かぁ、今日来る新人さんってのは」
やっと自分に反応をしてくれる人が現れ、リアムは思わず感動して首がもげそうなくらい頷いた。
「初めまして。オレの名前はノア·ルグラン、宜しくな」
リアム
「リアム·ランベールです。宜しくお願いします、ルグランさん!」
ノア
「ははっ、ノアで構わねーよ」
軽い印象を持つノアは、丸くタレているアーモンド目を細めながらリアムに寄ってくる。
リアム
「あ、あの…ここの指揮官って」
ノア
「あー、あそこのソファで寝てる子だよ。ちょーっと待ってね」
そう言うとノアは作業をしていて乱れた、襟足が少し長めのオレンジ髪を整えながらその人物へ近付いていく
ノア
「おーい、姫さん。起きな、新人くんが来たよー」
しゃがみこんでリアム達に背を向けて寝ている女性へノアが、軽く肩を揺すりながら声を掛ける。
すると、その人はもぞりと動き眠そうにソファにちゃんと座り、それを見るとノアが立ち上がった
ノア
「リアムくん、この人が特別室の指揮官」
そう紹介されるとリアムは、その人物へと視線を向ける