第2章 ‘‘清者”
「‼︎ …な、んで知って…⁉︎」
‘‘清者”。
私が幼い頃からずっと、母から話されていた話に何度も出てきた。
『貴方はね、特別な女の子なの』
『なんでェ?』
『貴方はね、ココの世界では普通の可愛い女の子なんだけど…。 ココではない、もう一つの世界。そこでは貴方はちょっとした特別な女の子になるのよ?』
『特別な女の子?』
『そう! ‘‘清者”っていう、特別な能力を持った女の子になるの‼︎』
『何それェ‼︎ ‘‘清者”って何⁉︎』
『‘‘清者”っていうのはね……』
「 傷口に手をかざせば、瞬く間に傷が治り、‘‘清者”の血を飲めば、悪魔の実の能力が格段に上がるー…」
悪魔の実。
それも母から聞いたことがある。
私の世界じゃない、あちらの世界に存在する実だ。
食べれば、何かの能力を持つとか。
「なんで…そこまで知ってるの?」
「…俺は能力者だ。気になって当然だろうが。」
「…‼︎」
女は身構えた。
「…何している?」
「…身構えてる。」
「…ぶはっ‼︎」
ローが吹き出した。
「な、何よ⁉︎ 何かおかしい⁉︎」
「そんなので、俺の攻撃をかわせるとでも思っているのか? 無理に決まってるだろ…‼︎」
「っ‼︎」
思いっきり見下されているが、そんなことよりローの笑顔が綺麗に見え、思わずときめいてしまった。
(今までの表情と全然違うじゃん…)
ローはくちを抑えて、クク…っ、と控えめに笑っている。
「…それより、お前の名前は何だ」
「…江ノ坂…真鈴」
「江ノ坂…真鈴か。変わった名前だな…」
「…。」
貴方の方が変わってると思うんだけどな、トラファルガーとか…と真鈴は思ったが、くちには出さなかった。
「ところでお前…何故ココにいるか、分かるか?」
「‼︎」
そんなの、こっちが最初から聞きたかった事だ。