第10章 ※シャボンディ諸島
…数時間後。
「これで終わりか?」
大量の袋を身体のあちこちにぶら下げているローが言った。
「うん、大丈夫…。ごめんなさい、こんなにたくさん…」
「さっきから遠慮はいらねェって言ってるだろ。」
「…はい」
「一旦船に戻って荷物を下ろす。…それからアイツんとこ行くぞ。」
「分かっ、た…」
急に真鈴がふっ、と左を向いた。
なにやら不安そうな顔をしている。
「どうした、船戻るぞ。」
「…ねェ、走って戻ろ、今すぐ‼︎」
「は⁉︎」
真鈴はローの服の裾を引っ張っている。
…が、ローはビクとも動かない。
「何だ、急に…」
「海軍‼︎ そこの人だかりの中にいる‼︎」
「‼︎」
目をこらしてよく見ると、確かに海軍らしき人がいる。
…白いマントのようなモノに‘‘正義”って文字が見えたから。
1人の海兵がこちらを向いた。
目を見開き、近くの兵に話しかけた。
「ちっ…走るぞ、 はぐれるなよ‼︎」
「うん‼︎」
2人は船がある方へ走りだした…が、真鈴の走るスピードが遅い。
「てめ…っ‼︎ もっと速く走れねェのか⁉︎」
「なんでローはそんなに速いのよぉぉぉ‼︎」
「ちっ…」
「きゃ⁉︎」
「とばすぞ。大人しくしとけ。」
真鈴を担ぎ、走りだした。
「(荷物も私も)落ちそうぅぅぅ‼︎」
「しがみついとけ‼︎」
途中でベポと船員数名とバッタリ会った。
「キャプテン⁉︎ どうし」
「今すぐ船戻れ、と他に連絡しろ‼︎」
「⁉︎ あ、アイー‼︎」
ベポ達も一緒に走る。
後ろの方からドタバタと何かが走ってくる。
怒声が聞こえた。
「ちっ…見つかったか」
「え…っ」
真鈴の顔が真っ青になった。
「大丈夫ですよ、真鈴さん‼︎ いざとなれば、キャプテンの能力がありますから‼︎」
「‼︎」
(そうだ…ローは能力者だった…。でも、何の能力? …ってそんなこと考えてる場合じゃない‼︎)
真鈴は今、振り落とされそうな荷物を抑えている。
…自分もローにしがみついているが。
「…もう少しとばすぞ。しっかりつかまっておけ。」
「は、はい‼︎ …っわ‼︎」
ハートの海賊(一部)は加速した。
そして、バラバラに散って、裏路地に駆け込んだ。
それぞれ船を目指す。