第9章 ローの葛藤
「何やって…‼︎ 大丈夫か⁉︎」
ローは真鈴の元に近づいて膝をついた。
「いてて…あ、ロー…ズボン濡れちゃ」
「後で着替えればいい。それより、怪我は⁉︎」
「えっと…あ、大丈夫。血は出てないから…」
ローの方にぶつけた手足を見せた。
「…ね?」
「……なら良かった。」
「いひゃっ⁉︎」
ローは、コツン、と真鈴の額に自分の額を軽くぶつけた。
距離が一気に近くなる。
…が、すぐ離れた。
「……行くぞ。」
「え、あ…うん」
(……俺は何やってんだ…)
ロー真鈴に背中を向け、小さくため息をついた。
食事場に向かって歩きだした。
「うぐっ…」
「⁉︎ どうした?」
後ろを振り返ると、まだ真鈴は座って…さっきの体制のままでいた。
「お前……全然大丈夫じゃねェだろ」
「………大丈夫」
真鈴は立とうとした…が、右足に痛みがはしり、立つことが出来なかった。
「…ったく…ほらよ」
「ひゃっ⁉︎」
真鈴を抱き上げ、ゆっくり上がらせた。
「あ…ありがとう……つっ‼︎」
「やっぱり痛ェか…。」
「大丈夫、歩ける…ギリ」
「…ちょっと動くなよ」
「? …ひゃっ⁉︎」
ローが急にしゃがんだと思うやいなや、真鈴を抱き上げた。
姫抱っこで。
「ちょ、ちょちょロー‼︎」
「動くんじゃねェ。じっとしてろ。」
「は、恥ずか…」
「部屋の前で降ろす。だからじっとしてろ。…あと、首に手ェ回せ、邪魔だ。」
「っ‼︎」
ローの首におそるおそる腕を回す。
ローは真鈴を抱く力を強めた。
真鈴の心臓がドクドク高鳴る。
…ローもだが。
「…っ」
(さっきから心臓うるさい…っ‼︎ ドキドキするし、キュウゥンってする…っ‼︎)
「…おい、この体制も足痛むのか? …首痛ェ」
「ご、ごごごめん…大丈夫、痛くない‼︎」
いつの間にかローの首を締めていたようだ。
「なら…いい」
ローがふっ、と笑みをこぼした。
「‼︎」
さらに、真鈴の胸の動悸が激しくなった。
(この感じ…もしかして…)
チラリ、とローの顔を見た。
胸の高鳴りが一層激しくなる。
(私……ローのことが…)
好き……?