第8章 眠れない
「俺達と一緒の部屋だが?」
(………え?)
「えェえ⁉︎」
真鈴は驚愕した。
てっきり、どこかの物置で寝るのだと思っていた。
ココにいる唯一の女で、急にこの船に乗ってきたからだ。
「え、じ、じゃあ…ベポと、せ、船長と一緒に寝るんすか⁉︎」
「…そういうことだが?」
「そ…そーっすか…」
船員はガックリ肩を落とした。
「え、えぇェえ…⁉︎」
「…なんだ、何か不満でもあるのか?」
ギロリ、とローに睨まれた。
「っ‼︎ いっ、いいえ、別に…」
「俺もです……では、また明日…」
船員は肩を落としながら、自分達の部屋に戻っていった。
船員が遠くに行ったのを確認したローは、真鈴のそばに軽くしゃがみ込み、小さい声で話しかけた。
「…あいつらと寝るよりマシだろ。あの時みてェになるぞ、1人になったら…」
「ー‼︎」
真鈴は先程、お風呂で起こったことを思い出した。
背筋にゾワリ、と寒気が走った…その時。
ローが真鈴の手を握った。
「⁉︎ …?」
手を握られた途端、真鈴の心にほんわかとした感情がこみ上がった。
…安心感が真鈴の心に湧き上がったのだ。
「…行くぞ」
「‼︎ あ、はいっ」
ローに手を引かれ、部屋に連れて行かれる。
真鈴の後にはベポがついてきている。
(あ、ベポも一緒か…。ならいいか、同じ部屋でも。)
寝室に3人(2人と1匹?)が入った。