第21章 一緒に……お風呂?
ベポが盛大に声を張り上げたので、ローが起きてしまった。
「朝っぱらから……って、何故俺は人形を抱いて⁉︎」
「あうっ」
ベポに向かって人形を投げつけた。
「…ローが起きそうだったから、つい」
「俺が起きそうだった?」
「私がどっかいったら、腕がさまよってたから…」
「キャプテン、真鈴に抱きついて寝ていたのですか?」
「‼︎」
…ベポは勘が鋭い。
「こいつが抱きついて寝てェ、って言ったからな…」
「ちょ、ロー‼︎」
真鈴はローを睨んだ。
「も〜ラブラブなんだからー……さ、そろそろ行きましょか」
「そ…うね。…あ」
「どうした」
「私…昨日お風呂、入ってない…」
…“能力の代償”で気絶した上、発熱していたからだ。
「お風呂入ってきたらどうですか? 朝食を少し手を抜いて、パンとか。」
「やめてくれ…」
ローは悲痛な面持ちで言った。
「…ローにはおにぎり作るから」
「ならいいが…あの憎っくき梅野郎は入れるんじゃねェぞ」
「憎っくき梅野郎って…ぶはっ‼︎」
真鈴は腹を抱えて笑いだした。
ベポは笑いを我慢しすぎて変な顔になっている。
「…バラすぞ、テメェら」
『すみませんでした』
2人はまだ微かに笑いで身体を震わせながらも、その場(寝台の上)で土下座した。
「…朝飯になったら呼べ。それまで寝てる…」
そう言うとローは寝転がり、布団をかぶった。
「…お風呂どうします? 入りますか?」
「そうしようかな…身体汗臭いし。…あ、ベポ」
「分かってますよ‼︎ 見張りですよね、まかしといてください‼︎」
ベポはドン、とあつい(?)胸板を拳で叩いた。
「ありがとう…‼︎」
「はい‼︎ …あ、やっぱり…」
「?」
「僕もお風呂入ろうかな…昨晩汗かいたし」
「え、」
(…一緒に?)
ベポは真鈴の表情を読みとって彼女が言いたそうにしていることを理解した。
「あ、別々で入りますよ?」
「あ、いや…別に一緒でもいいよ…?」
ピクリと布団の中にいる主が反応した。
(確かベポって、雌熊にしか興味がないんだったよね…)
実際そうである。
「そっちの方が効率が良くない?」
「え、真鈴さんはいいのですか…?」
「私は、別に…。ベポって、可愛い雌熊ちゃんしか興味ないのでしょ?」
「はい‼︎」
即答。